学習トップ / 理由で解く 臨床医学各論 / 第11章 ▸ I. 末梢神経性疾患 / Q33A075
理由で解く 臨床医学各論
「右手示指と中指の先がしびれる」という訴えは、正中神経の支配領域(手掌橈側)の感覚障害を示す。手作業の反復で手根管内の正中神経が絞扼される手根管症候群を考え、その誘発テストであるファレンテストが陽性となる。
手根管は手関節掌側で手根骨と屈筋支帯に囲まれたトンネルで、指の屈筋腱とともに正中神経が通る。神経が走行の途中で骨・靱帯・筋などに囲まれた狭い部位を通るとき、そこで慢性的に圧迫・牽引されて起こる障害を絞扼性神経障害といい、手の使いすぎなどの反復動作が誘因になる。正中神経の手掌側の知覚領域は母指・示指・中指と環指橈側半で、手根管で絞扼されるとこの手掌橈側に痛みやしびれが生じる。本例の示指・中指の先のしびれはその領域の一部であり、進行すれば母指球筋が萎縮して母指と小指の対立が障害され、猿手とよばれる変形をとる。身体所見としては、ファレンテスト陽性のほか、手関節掌側の叩打で正中神経領域に放散する感覚が生じるチネル徴候、母指球の萎縮、つまみ動作(母指対立)の力の低下がひとそろいで問われる。本例で「右手関節橈背側の腫脹や圧痛はない」と断ってあるのは、同じく手の使いすぎで起こるドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)を除外するための手がかりで、この一文があるだけで橈側のテストを答える選択肢は落とせる。しびれの場所から「どの神経か」を定め、次にその神経の誘発テストを選ぶ、という二段で処理すると確実である。
| 所見・検査 | 示す病態 | 障害神経・罹患組織 | 症状の出るところ |
|---|---|---|---|
| ファレンテスト陽性 | 手根管症候群 | 正中神経(手根管での絞扼) | 手掌橈側(母指・示指・中指と環指橈側半)の指先。進行すると母指球の萎縮 |
| アイヒホッフテスト陽性 | ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎) | 長母指外転筋・短母指伸筋の腱鞘 | 手関節橈側(腫脹・圧痛) |
| 下垂手 | 橈骨神経麻痺 | 橈骨神経 | 手関節・手指の背屈(伸展)不能。知覚障害は手背橈側(母指と示指の間の背側)が中心 |
| 小指外転筋力低下 | 尺骨神経障害 | 尺骨神経(小指球筋・骨間筋) | 小指側・第4・第5指(鷲手) |
解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。