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理由で解く 臨床医学各論

Q1324 その他の領域

出典:鍼灸 第1回(1993) 問題76
問題
第6頸椎脱臼骨折による脊髄損傷患者の初期にみられるのはどれか。
選択肢
1 呼吸停止
2 痙性麻痺
3 弛緩性麻痺
4 交代性麻痺
解答
正解3(弛緩性麻痺)
解説
✗ 1. 誤り
呼吸停止
横隔膜神経はC3-5由来であり、第6頸椎レベルの損傷では横隔膜神経は温存される。したがって横隔膜機能は保たれ呼吸停止は起こらない。ただし肋間筋麻痺により呼吸補助筋が障害されるため呼吸は浅くなるが、横隔膜呼吸は可能である。C3より上位の損傷では呼吸停止の危険がある。
✗ 2. 誤り
痙性麻痺
痙性麻痺(上位運動ニューロン障害の徴候)は脊髄ショックが離脱した後、数週間から数ヶ月後に出現する慢性期の症状である。深部腱反射亢進、筋緊張亢進、病的反射(バビンスキー反射など)の出現を伴う。初期にはこのような痙性はみられない。
✓ 3. 正しい
弛緩性麻痺
脊髄損傷の急性期(初期)には脊髄ショックが生じ、損傷部位以下は弛緩性麻痺を呈する。筋力低下、筋緊張低下、深部腱反射消失、病的反射陰性などが特徴である。膀胱直腸障害(尿閉、便秘)も同時に出現する。脊髄損傷患者への初期対応として頸椎保護カラーによる頸部固定がある。
✗ 4. 誤り
交代性麻痺
交代性麻痺は脳幹(延髄、橋、中脳)の一側性病変で生じる特異的な症候であり、病変側の脳神経麻痺と対側の片麻痺が出現する。脊髄損傷では損傷レベル以下の両側性麻痺(対麻痺または四肢麻痺)となり、交代性麻痺のパターンは出現しない。
ポイント
  • 脊髄損傷の急性期には脊髄ショックが生じ、損傷部以下は弛緩性麻痺・深部腱反射消失・膀胱直腸障害を呈する。
  • 数週間から数ヶ月後に脊髄ショックが離脱すると痙性麻痺に移行する(深部腱反射亢進、筋緊張亢進、病的反射出現)。
  • C3-5は横隔膜神経の起始であり、C6損傷では横隔膜呼吸は保たれるが、C3以上の損傷では呼吸停止の危険がある。
  • 重要用語: 脊髄ショック、弛緩性麻痺、痙性麻痺、横隔膜神経 を正確に理解しておくこと。
比較表
脊髄損傷の時期 麻痺の性状 深部腱反射 筋緊張 病的反射
急性期(初期) 弛緩性麻痺 消失 低下 陰性
慢性期(ショック離脱後) 痙性麻痺 亢進 亢進 陽性
解説画像
鍼灸 第1回(1993) 問題76|第6頸椎脱臼骨折による脊髄損傷患者の初期にみられるのはどれか。 解説図
鍼灸 第1回(1993) 問題76|第6頸椎脱臼骨折による脊髄損傷患者の初期にみられるのはどれか。
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