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理由で解く 臨床医学各論

Q1164 神経疾患

出典:あマ指 第16回(2008) 問題75
問題
「30歳の女性。3か月前から眼瞼下垂と下顎および両上肢の脱力がある。症状は午後から夕方に悪化し、朝には軽くなる。」障害部位はどこか。
選択肢
1 大脳運動野
2 脊髄前角
3 神経筋接合部
4 骨格筋線維
解答
正解3(神経筋接合部)
解説
✗ 1. 誤り
大脳運動野
大脳運動野の障害では上位運動ニューロン障害として痙性麻痺・腱反射亢進・病的反射を呈する。 易疲労性や日内変動はみられず、通常は片側性の症状となる。本症例の病態とは合致しない。
✗ 2. 誤り
脊髄前角
脊髄前角の障害では下位運動ニューロン症状として筋萎縮・線維束性攣縮・腱反射低下・弛緩性麻痺を呈する。 代表疾患は筋萎縮性側索硬化症やポリオであり、日内変動は示さない。
✓ 3. 正しい
神経筋接合部
重症筋無力症は神経筋接合部の後シナプス膜にあるアセチルコリン受容体に対する自己抗体(抗AChR抗体)によって、アセチルコリンによる神経筋伝達が障害される自己免疫疾患である。 筋活動を繰り返すとアセチルコリンの放出が減少し伝達障害が顕在化するため、夕方に症状が増悪し、休息後の朝には軽快するという日内変動を示す。 胸腺異常(胸腺腫・胸腺過形成)が約半数にみられることも重要な特徴である。
✗ 4. 誤り
骨格筋線維
骨格筋線維自体の障害では進行性筋ジストロフィーのような遺伝性の進行性筋力低下を呈する。 CK(クレアチニンキナーゼ)の著明な上昇がみられるが、日内変動は示さない。
ポイント
  • 重症筋無力症の障害部位は「神経筋接合部の後シナプス膜」であり、アセチルコリン受容体に対する自己抗体(抗AChR抗体)が原因である
  • 日内変動(夕方増悪・朝方軽快)は神経筋接合部障害に特徴的な所見であり、大脳運動野・脊髄前角・骨格筋線維の障害では認められない
  • 障害部位の問題では、各部位の代表疾患と典型的症候を対比して覚えることが重要である
  • 重要用語: 神経筋接合部, 後シナプス膜, アセチルコリン受容体, 抗AChR抗体 を正確に理解しておくこと。
比較表
障害部位 代表疾患 主な症状 日内変動
大脳運動野 脳血管障害 痙性麻痺・腱反射亢進 なし
脊髄前角 ALS・ポリオ 筋萎縮・線維束性攣縮 なし
神経筋接合部 重症筋無力症 易疲労性・眼瞼下垂 あり(夕方増悪)
骨格筋線維 筋ジストロフィー 進行性筋力低下 なし
解説画像
あマ指 第16回(2008) 問題75|「30歳の女性。3か月前から眼瞼下垂と下顎および両上肢の脱力がある。症状は午後から夕方に悪化し、朝には軽くなる。」障害部位はどこか。 解説図
あマ指 第16回(2008) 問題75|「30歳の女性。3か月前から眼瞼下垂と下顎および両上肢の脱力がある。症状は午後から夕方に悪化し、朝には軽くなる。」障害部位はどこか。
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