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理由で解く 臨床医学各論

Q1163 神経疾患

出典:あマ指 第16回(2008) 問題74
問題
「30歳の女性。3か月前から眼瞼下垂と下顎および両上肢の脱力がある。症状は午後から夕方に悪化し、朝には軽くなる。」最も考えられる疾患はどれか。
選択肢
1 重症筋無力症
2 周期性四肢麻痺
3 筋萎縮性側索硬化症
4 進行性筋ジストロフィー症
解答
正解1(重症筋無力症)
解説
✓ 1. 正しい
重症筋無力症
30歳女性で眼瞼下垂と下顎・両上肢の脱力がみられ、午後から夕方に悪化して朝には軽快する日内変動を示す。 この「易疲労性」と「夕方増悪・朝方軽快」のパターンは重症筋無力症に特徴的な所見である。 重症筋無力症は神経筋接合部の後シナプス膜にあるアセチルコリン受容体に対する自己抗体により神経筋伝達が障害される自己免疫疾患で、女性に多い(男女比1:2)。
✗ 2. 誤り
周期性四肢麻痺
周期性四肢麻痺は発作的に四肢の弛緩性麻痺をきたす疾患で、低カリウム血症などに伴う。 発作間欠期には症状がなく、本症例のような日内変動を示す持続的な筋力低下のパターンとは異なる。
✗ 3. 誤り
筋萎縮性側索硬化症
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は上位・下位運動ニューロンが進行性に障害される疾患で、筋萎縮や線維束性攣縮を伴う。 日内変動はみられず、40〜60代に好発するため、30歳女性の本症例とは合致しない。
✗ 4. 誤り
進行性筋ジストロフィー症
進行性筋ジストロフィーは遺伝性の進行性筋力低下を特徴とする疾患群である。 日内変動はみられず、デュシェンヌ型では幼児期に発症し、本症例の経過とは異なる。
ポイント
  • 重症筋無力症の最大の特徴は「易疲労性」と「日内変動(夕方増悪・朝方軽快)」であり、特に眼瞼下垂・複視が初発症状として多い(50〜57%)
  • 反復神経刺激試験(ハーベイ・マスランド試験)で漸減反応(waning)がみられることが診断上重要である
  • 30歳女性・眼瞼下垂・夕方増悪のキーワードがそろえば、重症筋無力症を第一に疑う
  • 重要用語: 重症筋無力症, 易疲労性, 日内変動, 抗AChR抗体 を正確に理解しておくこと。
比較表
鑑別疾患 好発年齢・性差 筋力低下の特徴 日内変動
重症筋無力症 20〜30代女性に多い 易疲労性・眼瞼下垂 あり(夕方増悪)
周期性四肢麻痺 若年男性 発作性弛緩性麻痺 なし(発作性)
筋萎縮性側索硬化症 40〜60代 筋萎縮・線維束性攣縮 なし(進行性)
進行性筋ジストロフィー 幼児期(デュシェンヌ型) 近位筋の進行性筋力低下 なし(進行性)
解説画像
あマ指 第16回(2008) 問題74|「30歳の女性。3か月前から眼瞼下垂と下顎および両上肢の脱力がある。症状は午後から夕方に悪化し、朝には軽くなる。」最も考えられる疾患はどれか。 解説図
あマ指 第16回(2008) 問題74|「30歳の女性。3か月前から眼瞼下垂と下顎および両上肢の脱力がある。症状は午後から夕方に悪化し、朝には軽くなる。」最も考えられる疾患はどれか。
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