学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ F. 認知症性疾患 / Q1142

理由で解く 臨床医学各論

Q1142 神経疾患

出典:鍼灸 第8回(2000) 問題87
問題
痴呆が出現しない疾患はどれか。
選択肢
1 小脳橋角部腫瘍
2 ハンチントン舞踏病
3 アルツハイマー病
4 ウイルソン病
解答
正解1(小脳橋角部腫瘍)
解説
✓ 1. 誤り
小脳橋角部腫瘍
小脳橋角部腫瘍は聴神経鞘腫(前庭神経鞘腫)が代表的で、第8脳神経(内耳神経)の前庭神経から発生し、小脳橋角部に限局して増大する良性腫瘍である。一側性の感音性難聴・耳鳴り・めまい・顔面神経麻痺(第7脳神経圧迫)・小脳症状(歩行失調)などの局所症状を呈するが、大脳皮質を障害しないため認知症は起こさない。
✗ 2.
ハンチントン舞踏病
✗ 正しい。ハンチントン舞踏病は不随意運動(舞踏病様運動)とともに進行性の認知症を呈する常染色体優性遺伝の変性疾患である。CAGリピートの異常伸長が原因で、線条体(尾状核・被殻)の小型神経細胞と大脳皮質の神経細胞が変性し、不随意運動・精神症状(易怒性・抑うつ)・認知症が出現する。30〜50歳代に発症することが多い。
✗ 3.
アルツハイマー病
✗ 正しい。アルツハイマー病は大脳皮質のびまん性変性により進行性認知症をきたす代表的疾患である。病理学的に老人斑(アミロイドβ蛋白の沈着)とアルツハイマー神経原線維変化(タウ蛋白の異常リン酸化)が特徴的で、記憶障害(特に近時記憶)、失見当識、失語・失行・失認などの大脳皮質症状を呈する。
✗ 4.
ウイルソン病
✗ 正しい。ウイルソン病(肝レンズ核変性症)は銅代謝異常により全身に銅が蓄積する常染色体劣性遺伝の疾患である。肝硬変、錐体外路徴候(振戦、ジストニア、アテトーゼ)、カイザー・フライシャー角膜輪を呈し、精神症状や認知機能低下を伴うことがある。若年発症(小児〜青年期)で、学業成績の低下や感情・性格変化として初発することがある。
ポイント
  • 小脳橋角部腫瘍は局所症状(難聴・顔面神経麻痺・小脳症状)のみで、大脳皮質を障害しないため認知症は起こさない
  • 認知症をきたす疾患:ハンチントン舞踏病(線条体・大脳皮質変性)、アルツハイマー病(大脳皮質変性)、ウイルソン病(銅蓄積による脳障害)
  • 認知症の有無は大脳皮質の障害の有無と密接に関連する
  • 重要用語: 小脳橋角部腫瘍, ハンチントン舞踏病, アルツハイマー病, ウイルソン病 を正確に理解しておくこと。
比較表
疾患 認知症 遺伝形式 主な特徴
小脳橋角部腫瘍 なし なし(散発性) 感音性難聴、顔面神経麻痺
ハンチントン舞踏病 あり 常染色体優性 舞踏運動、精神症状
アルツハイマー病 あり 一部遺伝性 記憶障害、大脳皮質症状
ウイルソン病 あり 常染色体劣性 肝障害、錐体外路徴候
解説画像
鍼灸 第8回(2000) 問題87|痴呆が出現しない疾患はどれか。 解説図
鍼灸 第8回(2000) 問題87|痴呆が出現しない疾患はどれか。
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