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理由で解く 臨床医学各論

Q1134 神経疾患

出典:鍼灸 第2回(1994) 問題78
問題
脊髄空洞症で障害されない感覚はどれか。
選択肢
1 痛覚
2 温覚
3 触覚
4 冷覚
解答
正解3(触覚)
解説
✗ 1.
痛覚
✗ 正しい。痛覚は脊髄後角に入った後、脊髄前交連で交叉して対側の外側脊髄視床路を上行する。脊髄空洞症では脊髄中心管周囲に空洞が形成されるため、前交連を通過する交叉線維が障害され、痛覚が脱失する。空洞が存在する髄節レベルに一致した領域で痛覚が消失するのが特徴的である。
✗ 2.
温覚
✗ 正しい。温覚も痛覚と同様に脊髄前交連を交叉して対側の外側脊髄視床路を上行する経路をたどる。したがって、脊髄空洞症による前交連の障害で温覚も脱失する。温覚と痛覚はともに外側脊髄視床路系(温痛覚系)に属するため、同時に障害される。
✓ 3. 誤り
触覚
触覚(深部感覚を含む識別性触覚)は後根から入った後、同側の後索(薄束・楔状束)を上行し、延髄の後索核(薄束核・楔状束核)で中継した後に内側毛帯を経て対側へ交叉する。脊髄レベルでは交叉しないため、脊髄中心部の空洞形成では障害されにくく温存される。温痛覚のみが障害され触覚・深部感覚が温存される所見を解離性感覚障害と呼び、脊髄空洞症の最も特徴的な所見である。
✗ 4.
冷覚
✗ 正しい。冷覚も温覚と同様に、脊髄前交連を交叉して外側脊髄視床路を介して上行する温痛覚系に属する感覚である。したがって脊髄空洞症により前交連が障害されると、冷覚も温覚・痛覚とともに脱失する。
ポイント
  • 脊髄空洞症では前交連を通る温痛覚(冷覚含む)が障害され、後索を上行する触覚・深部感覚は温存される解離性感覚障害が特徴である
  • 障害は空洞の存在する髄節レベルに一致し、宙吊り型(ケープ型)の温痛覚障害を呈する。やけどや外傷に気づかず受傷することが多い
  • 脊髄空洞症はキアリ奇形に合併することが多く、脊髄MRIで中心部の空洞(T2高信号)が確認される
  • 重要用語: 脊髄空洞症, 解離性感覚障害, 温痛覚障害, 後索, 外側脊髄視床路 を正確に理解しておくこと。
比較表
感覚の種類 伝導路 交叉部位 空洞症での障害
痛覚・温覚・冷覚 外側脊髄視床路 脊髄前交連 障害される
触覚・深部感覚 後索(薄束・楔状束) 延髄(後索核) 温存される
解説画像
鍼灸 第2回(1994) 問題78|脊髄空洞症で障害されない感覚はどれか。 解説図
鍼灸 第2回(1994) 問題78|脊髄空洞症で障害されない感覚はどれか。
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