学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ D. 基底核変性疾患 / Q1123

理由で解く 臨床医学各論

Q1123 神経疾患

出典:鍼灸 第25回(2017) 問題78
問題
「78歳の男性。手がふるえ、動作が緩慢で、表情がなく、前かがみになりやすく、筋肉がこわばる。」本症例の原因で適切なのはどれか。
選択肢
1 錐体路障害
2 炎症性脱髄
3 ドパミン欠乏
4 アセチルコリン受容体障害
解答
正解3(ドパミン欠乏)
解説
✗ 1. 誤り
錐体路障害
錐体路障害は大脳皮質運動野から脊髄前角細胞に至る経路の障害であり、痙性麻痺・腱反射亢進・病的反射(バビンスキー反射)が出現する。本症例のパーキンソン病は錐体外路障害であり、錐体路障害とは病態が異なる。
✗ 2. 誤り
炎症性脱髄
炎症性脱髄は多発性硬化症の病態であり、中枢神経の白質に多発性の脱髄巣を形成する。視力障害、感覚障害、運動障害などの多彩な症状が空間的・時間的に多発するのが特徴で、パーキンソン病の原因ではない。
✓ 3. 正しい
ドパミン欠乏
本症例はパーキンソン病であり、中脳黒質緻密層のメラニン含有細胞(ドパミン産生神経細胞)の変性・脱落により脳内のドパミンが欠乏することで発症する。黒質から線条体へのドパミン供給が減少すると、基底核の運動統御機構が破綻し、安静時振戦・筋固縮・無動・姿勢反射障害の四大症状が出現する。治療にはL-ドーパ(ドパミン前駆物質)が用いられ、欠乏したドパミンを補充する。
✗ 4. 誤り
アセチルコリン受容体障害
アセチルコリン受容体障害は重症筋無力症の病態である。重症筋無力症は神経筋接合部の後シナプス膜のアセチルコリン受容体に対する自己抗体により神経筋伝達が障害される自己免疫疾患であり、眼瞼下垂・複視・易疲労性が特徴で、パーキンソン病とは異なる。
ポイント
  • パーキンソン病の原因は中脳黒質のドパミン産生神経細胞の変性によるドパミン欠乏
  • 治療はL-ドーパによるドパミン補充療法が主体
  • 錐体路障害(痙性麻痺)、炎症性脱髄(多発性硬化症)、アセチルコリン受容体障害(重症筋無力症)との鑑別が重要
  • 重要用語: ドパミン欠乏, 中脳黒質, L-ドーパ, 錐体外路, アセチルコリン受容体 を正確に理解しておくこと。
比較表
病態 代表的疾患 主な症状 治療
ドパミン欠乏 パーキンソン病 安静時振戦・無動・筋固縮 L-ドーパ
錐体路障害 脳卒中、脊髄損傷 痙性麻痺・腱反射亢進 リハビリテーション
炎症性脱髄 多発性硬化症 視力障害・感覚障害(多彩) ステロイド、インターフェロン
ACh受容体障害 重症筋無力症 眼瞼下垂・易疲労性 抗コリンエステラーゼ薬
解説画像
鍼灸 第25回(2017) 問題78|「78歳の男性。手がふるえ、動作が緩慢で、表情がなく、前かがみになりやすく、筋肉がこわばる。」本症例の原因で適切なのはどれか。 解説図
鍼灸 第25回(2017) 問題78|「78歳の男性。手がふるえ、動作が緩慢で、表情がなく、前かがみになりやすく、筋肉がこわばる。」本症例の原因で適切なのはどれか。
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