学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ D. 基底核変性疾患 / Q1122

理由で解く 臨床医学各論

Q1122 神経疾患

出典:鍼灸 第25回(2017) 問題77
問題
「78歳の男性。手がふるえ、動作が緩慢で、表情がなく、前かがみになりやすく、筋肉がこわばる。」本症例でみられる症状と所見の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 手がふるえる ― 企図振戦
2 表情がない ― 満月様顔貌
3 前かがみになる ― 起坐位
4 筋肉がこわばる ― 固縮
解答
正解4(筋肉がこわばる——固縮)
解説
✗ 1. 誤り
手がふるえる ― 企図振戦
パーキンソン病の振戦は安静時振戦であり、じっとしているときに出現し随意運動により減弱する。企図振戦(意図振戦)は小脳障害でみられるもので、目標物に手を近づけるほど振戦が増強する。振戦の種類を正確に鑑別することが重要である。
✗ 2. 誤り
表情がない ― 満月様顔貌
無表情はパーキンソン病の仮面様顔貌(masked face)であり、表情筋の動きが減少して無表情となる。満月様顔貌(ムーンフェイス)はクッシング症候群で副腎皮質ホルモンの過剰分泌により顔面に脂肪が沈着してみられる特徴的顔貌であり、全く異なるものである。
✗ 3. 誤り
前かがみになる ― 起坐位
前かがみになるのはパーキンソン病の前傾前屈姿勢であり、体幹の筋固縮によるものである。起坐位は呼吸困難時に座位をとることで楽になる体位で、左心不全や気管支喘息の発作時にみられる。全く異なる概念である。
✓ 4. 正しい
筋肉がこわばる ― 固縮
筋肉のこわばりは固縮(筋強剛、rigidity)であり、パーキンソン病の四大症状の一つである。筋の被動時に歯車様または鉛管様の持続的な抵抗が感じられる。固縮は錐体外路障害によるもので、他動運動の速度に関係なく全体にわたって一定の抵抗がみられる点が、錐体路障害による痙縮とは異なる。
ポイント
  • パーキンソン病の症状と所見の正しい対応:振戦=安静時振戦、無表情=仮面様顔貌、前かがみ=前傾姿勢、筋肉のこわばり=固縮
  • 企図振戦は小脳障害、満月様顔貌はクッシング症候群、起坐位は左心不全の症状
  • 類似用語の混同を避けるため、各用語の定義と対応する疾患を正確に理解する
  • 重要用語: 固縮, 仮面様顔貌, 安静時振戦, 前傾姿勢, 企図振戦 を正確に理解しておくこと。
比較表
症状の記述 正しい所見名 誤った所見名(選択肢)
手がふるえる 安静時振戦 企図振戦(小脳障害)
表情がない 仮面様顔貌 満月様顔貌(クッシング症候群)
前かがみになる 前傾姿勢 起坐位(左心不全)
筋肉がこわばる 固縮(筋強剛) ―(正しい組合せ)
解説画像
鍼灸 第25回(2017) 問題77|「78歳の男性。手がふるえ、動作が緩慢で、表情がなく、前かがみになりやすく、筋肉がこわばる。」本症例でみられる症状と所見の組合せで正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第25回(2017) 問題77|「78歳の男性。手がふるえ、動作が緩慢で、表情がなく、前かがみになりやすく、筋肉がこわばる。」本症例でみられる症状と所見の組合せで正しいのはどれか。
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