学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ D. 基底核変性疾患 / Q1106

理由で解く 臨床医学各論

Q1106 神経疾患

出典:あマ指 第11回(2003) 問題94
問題
症候性パーキンソニズムの原因とならないのはどれか。
選択肢
1 脳炎
2 一酸化炭素中毒
3 脳血管障害
4 ギラン・バレー症候群
解答
正解4(ギラン・バレー症候群)
解説
✗ 1.
脳炎
✗ 正しい。脳炎(特に嗜眠性脳炎〔フォン・エコノモ脳炎〕)は脳炎後パーキンソニズムの代表的な原因である。1917年から世界的に流行し、発症後数年を経て中脳黒質のドパミン神経細胞が変性・脱落し、パーキンソニズム(振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害)が出現する。日本脳炎やその他のウイルス性脳炎後にもパーキンソニズムが出現することがある。
✗ 2.
一酸化炭素中毒
✗ 正しい。一酸化炭素(CO)中毒では基底核(特に淡蒼球)および大脳白質が選択的に障害され、急性期の回復後2〜3週間して遅発性脳症としてパーキンソニズムが出現することがある。COによるヘモグロビンとの結合で組織低酸素が生じ、酸素需要の高い基底核が障害される。CT・MRIで淡蒼球の両側対称性の壊死巣が認められることが特徴的である。
✗ 3.
脳血管障害
✗ 正しい。脳血管障害(特に多発性脳梗塞)による血管性パーキンソニズムは、基底核領域や大脳深部白質の多発性ラクナ梗塞により発症する。歩行障害(小刻み歩行、すくみ足)が主体であるが、典型的なパーキンソン病と異なり安静時振戦は目立たず、下半身優位の症状を呈し、L-ドパへの反応性が乏しいことが多い。
✓ 4. 誤り
ギラン・バレー症候群
ギラン・バレー症候群は先行感染(カンピロバクター腸炎など)の1〜3週間後に発症する急性炎症性脱髄性多発神経炎であり、末梢神経の脱髄が主病態である。四肢遠位部から始まる上行性の弛緩性麻痺と腱反射消失を呈する。病変は末梢神経にあり、中枢神経系の大脳基底核や黒質は障害されないため、錐体外路症状であるパーキンソニズムの原因にはならない。
ポイント
  • 症候性パーキンソニズムの原因は脳炎後、一酸化炭素中毒、脳血管障害、薬剤性(フェノチアジン系、ハロペリドールなど)、マンガン中毒など多岐にわたる
  • パーキンソニズムは基底核・黒質の障害で生じる錐体外路症状であり、末梢神経疾患であるギラン・バレー症候群では出現しない
  • ギラン・バレー症候群の特徴は上行性弛緩性麻痺・腱反射消失・髄液の蛋白細胞解離であり、パーキンソニズムの振戦・固縮・無動とは全く異なる症候を呈する
  • パーキンソン病(特発性)と症候性パーキンソニズムの鑑別も重要な臨床課題である
  • 重要用語: 症候性パーキンソニズム、錐体外路症状、ギラン・バレー症候群、基底核障害、末梢神経疾患 を正確に理解しておくこと。
比較表
症候性パーキンソニズムの原因 障害部位 特徴
脳炎後 中脳黒質 フォン・エコノモ脳炎の後遺症が代表的
一酸化炭素中毒 淡蒼球・白質 遅発性脳症として2〜3週後に出現
脳血管障害 基底核・深部白質 下半身優位、L-ドパ反応性乏しい
薬剤性 ドパミン受容体遮断 抗精神病薬が原因、中止で改善
解説画像
あマ指 第11回(2003) 問題94|症候性パーキンソニズムの原因とならないのはどれか。 解説図
あマ指 第11回(2003) 問題94|症候性パーキンソニズムの原因とならないのはどれか。
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