学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ D. 基底核変性疾患 / Q1102

理由で解く 臨床医学各論

Q1102 神経疾患

出典:鍼灸 第32回(2024) 問題86
問題
次の文で示す症例について、問いに答えよ。「60歳の女性。数年前から左手の振戦を生じ、次第にすくみ足、寡動を認めるようになり、近医にて診断を受け、投薬が開始された。」歩行障害に対するリハビリテーションとして最も適切なのはどれか。
選択肢
1 歩行速度を上げるように指示する。
2 メトロノームを用いた訓練を行う。
3 継ぎ足歩行をさせる。
4 坂道での訓練を行う。
解答
正解2(メトロノームを用いた訓練を行う。)
解説
✗ 1. 誤り
歩行速度を上げるように指示する。
パーキンソン病では歩行速度が次第に速くなって止められなくなる突進現象(加速歩行)が起こりうるため、歩行速度を上げる指示は症状を悪化させ転倒リスクを高める。むしろ一定のリズムで歩行できるように外的刺激を与えることが重要である。
✓ 2. 正しい
メトロノームを用いた訓練を行う。
本症例は60歳女性で、安静時振戦・すくみ足・寡動(動作緩慢)を呈しており、パーキンソン病と診断される。パーキンソン病の歩行障害(すくみ足・小刻み歩行)に対しては、メトロノームなどの外的リズム刺激(聴覚的キュー)を用いた歩行訓練が最も有効である。一定のリズムに合わせて歩行することで、基底核の障害による内的リズム生成の低下を外部から補い、歩行パターンを改善する。床のラインを越える視覚的キューも有効である。
✗ 3. 誤り
継ぎ足歩行をさせる。
継ぎ足歩行(タンデム歩行)は小脳失調による平衡障害の評価に用いられる検査であり、パーキンソン病のすくみ足に対するリハビリテーションとしては適切でない。姿勢反射障害があるパーキンソン病患者では転倒の危険が高い。
✗ 4. 誤り
坂道での訓練を行う。
坂道での訓練は姿勢反射障害を有するパーキンソン病患者にとって転倒リスクが非常に高い。パーキンソン病では前傾姿勢となりやすく、下り坂では突進現象が助長される危険がある。安全な環境での歩行訓練が優先される。
ポイント
  • パーキンソン病の歩行障害に対しては外的リズム刺激(聴覚的キュー:メトロノーム、視覚的キュー:床のライン)による歩行訓練が有効である
  • パーキンソン病の4大症状は安静時振戦・筋固縮・寡動(無動)・姿勢反射障害であり、すくみ足は歩行障害の特徴的症状である
  • 姿勢反射障害があるため転倒リスクが高く、坂道や継ぎ足歩行など不安定な環境での訓練は避ける
  • 重要用語: パーキンソン病, メトロノーム, 外的リズム刺激, すくみ足, 聴覚的キュー を正確に理解しておくこと。
解説画像
鍼灸 第32回(2024) 問題86|次の文で示す症例について、問いに答えよ。「60歳の女性。数年前から左手の振戦を生じ、次第にすくみ足、寡動を認めるようになり、近医にて診断を受け、投薬が開始された。」歩行障害に対するリハビリテーションとして最も適切なのはどれか。 解説図
鍼灸 第32回(2024) 問題86|次の文で示す症例について、問いに答えよ。「60歳の女性。数年前から左手の振戦を生じ、次第にすくみ足、寡動を認めるようになり、近医にて診断を受け、投薬が開始された。」歩行障害に対するリハビリテーションとして最も適切なのはどれか。
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