学習トップ理由で解く 臨床医学各論第10章 ▸ A. 赤血球疾患 / Q0989

理由で解く 臨床医学各論

Q0989 血液・造血器疾患

出典:あマ指 第15回(2007) 問題73
問題
「48歳の女性。1年前から月経血量が増え、労作時に息切れするようになった。手術歴はない。眼瞼結膜は蒼白である。出血傾向、黄疸、浮腫はない。」最も考えられる疾患はどれか。
選択肢
1 再生不良性貧血
2 鉄欠乏性貧血
3 溶血性貧血
4 悪性貧血
解答
正解2(鉄欠乏性貧血)
解説
✗ 1. 誤り
再生不良性貧血
再生不良性貧血は汎血球減少(赤血球・白血球・血小板の減少)を呈し、血小板減少による出血傾向(皮下出血、鼻出血、歯肉出血など)を伴う。本症例では出血傾向がないため再生不良性貧血は否定的である。骨髄は低形成で脂肪髄となる。
✓ 2. 正しい
鉄欠乏性貧血
48歳女性で月経血量増加と労作時息切れ、眼瞼結膜蒼白の所見から、月経過多による慢性失血に伴う鉄欠乏性貧血が最も考えられる。月経過多は閉経前女性の鉄欠乏性貧血の最多原因であり、慢性的な鉄喪失によりヘモグロビン合成が低下する。出血傾向も黄疸もないことから他の貧血は否定的である。検査では血清鉄低下・フェリチン低下・TIBC上昇・小球性低色素性貧血を呈する。
✗ 3. 誤り
溶血性貧血
溶血性貧血では赤血球破壊により間接ビリルビンが増加し黄疸を伴う。また脾腫もみられることが多い。本症例では黄疸がないため溶血性貧血は否定的である。LDH上昇・ハプトグロビン低下・網赤血球増加も特徴的である。
✗ 4. 誤り
悪性貧血
悪性貧血はビタミンB12欠乏(内因子欠乏による吸収障害)による巨赤芽球性貧血で、月経過多とは関連しない。悪性貧血では神経症状(手足のしびれ、位置覚低下、振動覚低下)やハンター舌炎を伴うことが多く、大球性貧血を呈する。
ポイント
  • 月経過多は閉経前女性における鉄欠乏性貧血の最多原因であり、背景に子宮筋腫があることが多い。
  • 貧血の鑑別では随伴症状が重要:再生不良性貧血は出血傾向あり、溶血性貧血は黄疸あり、悪性貧血は神経症状あり。
  • 鉄欠乏性貧血の診断には月経歴の聴取と鉄代謝検査(血清鉄・フェリチン・TIBC)が不可欠である。
  • 重要用語: 鉄欠乏性貧血・月経過多・眼瞼結膜蒼白 を正確に理解しておくこと。
比較表
貧血の種類 特徴的な随伴症状 特徴的所見
鉄欠乏性貧血 スプーン状爪、舌炎 小球性低色素性貧血
再生不良性貧血 出血傾向、易感染性 汎血球減少、脂肪髄
溶血性貧血 黄疸、脾腫 間接ビリルビン増加、網赤血球増加
悪性貧血 神経症状、ハンター舌炎 大球性貧血、核過分葉
解説画像
あマ指 第15回(2007) 問題73|「48歳の女性。1年前から月経血量が増え、労作時に息切れするようになった。手術歴はない。眼瞼結膜は蒼白である。出血傾向、黄疸、浮腫はない。」最も考えられる疾患はどれか。 解説図
あマ指 第15回(2007) 問題73|「48歳の女性。1年前から月経血量が増え、労作時に息切れするようになった。手術歴はない。眼瞼結膜は蒼白である。出血傾向、黄疸、浮腫はない。」最も考えられる疾患はどれか。
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