学習トップ理由で解く 臨床医学各論第9章 ▸ C. 動脈疾患 / Q0960

理由で解く 臨床医学各論

Q0960 循環器疾患

出典:あマ指 第30回(2022) 問題79
問題
「68歳の女性。国際線の機内で左下腿が次第に腫脹してきた。熱感や冷感はない。 左ふくらはぎに把握痛がある。」最も考えられるのはどれか。
選択肢
1 心不全
2 急性腎不全
3 コンパートメント症候群
4 深部静脈血栓症
解答
正解4(深部静脈血栓症)
解説
✗ 1. 誤り
心不全
心不全による浮腫は両側性に出現するのが特徴であり、片側の下腿腫脹と腓腹筋の把握痛という本症例の所見とは合致しない。心不全では呼吸困難や起座呼吸なども伴うが、本症例にはそれらの症状がない。
✗ 2. 誤り
急性腎不全
急性腎不全では腎機能低下により体液貯留が起こり全身性の浮腫や乏尿が特徴的であるが、片側の下腿腫脹の原因としては考えにくい。また、長時間のフライト中に急に発症する経過とも合致しない。
✗ 3. 誤り
コンパートメント症候群
コンパートメント症候群は外傷や骨折後に筋区画内圧が上昇し、激しい痛みと知覚障害、筋の他動伸展時痛が出現する病態である。長時間フライト中に外傷なく自然発症することは稀であり、本症例の経過とは合致しない。
✓ 4. 正しい
深部静脈血栓症
長時間の国際線フライト中に片側下腿の腫脹と腓腹筋の把握痛が出現していることから、深部静脈血栓症(DVT)が最も考えられる。いわゆるエコノミークラス症候群であり、長時間の同一姿勢での座位により下肢静脈がうっ滞し、血栓が形成される。ホーマンズ徴候(足関節背屈時の腓腹筋痛)も診断の参考となる重要な所見である。
ポイント
  • 長時間フライト中の片側下腿腫脹と把握痛は深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)を強く示唆する所見である。DVTは肺塞栓症の原因となるため、早期診断・治療が重要である。
  • DVTの危険因子:長時間の不動、脱水、高齢、肥満、経口避妊薬使用、手術後、悪性腫瘍などである。
  • 心不全や腎不全による浮腫は両側性であり、片側の下腿腫脹とは病態が異なる。DVTでは下肢静脈エコーやD-ダイマー検査が診断に有用である。
  • 重要用語: 深部静脈血栓症, エコノミークラス症候群, ホーマンズ徴候, 下腿腫脹, 把握痛 を正確に理解しておくこと。
解説画像
あマ指 第30回(2022) 問題79|「68歳の女性。国際線の機内で左下腿が次第に腫脹してきた。熱感や冷感はない。 左ふくらはぎに把握痛がある。」最も考えられるのはどれか。 解説図
あマ指 第30回(2022) 問題79|「68歳の女性。国際線の機内で左下腿が次第に腫脹してきた。熱感や冷感はない。 左ふくらはぎに把握痛がある。」最も考えられるのはどれか。
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