学習トップ理由で解く 臨床医学各論第9章 ▸ C. 動脈疾患 / Q0961

理由で解く 臨床医学各論

Q0961 循環器疾患

出典:あマ指 第30回(2022) 問題80
問題
「68歳の女性。国際線の機内で左下腿が次第に腫脹してきた。熱感や冷感はない。 左ふくらはぎに把握痛がある。」その後、胸痛と呼吸困難が出現してきた。最も考えられるのはどれか。
選択肢
1 肺塞栓症
2 脳伷塞
3 心筋伷塞
4 閉塞性動脈硬化症
解答
正解1(肺塞栓症)
解説
✓ 1. 正しい
肺塞栓症
深部静脈血栓症(DVT)の状態から胸痛と呼吸困難が出現していることから、肺塞栓症が最も考えられる。下肢静脈内に形成された血栓が遊離して右心系を経由し肺動脈を閉塞する疾患である。突然の胸痛、呼吸困難、頻脈が三大症状であり、重症例では急性右心不全やショック、突然死に至ることもある。DVTと肺塞栓症を合わせて静脈血栓塞栓症(VTE)と呼ぶ。
✗ 2. 誤り
脳伷塞
脳梗塞は脳血管の閉塞により片麻痺、構音障害、失語、意識障害などの神経症状が主症状である。胸痛や呼吸困難は脳梗塞の典型的症状ではなく、先行する深部静脈血栓症との関連からも肺塞栓症のほうが可能性が高い。
✗ 3. 誤り
心筋伷塞
心筋梗塞は冠動脈の閉塞による心筋壊死であり、激しい胸痛を呈するが、先行する下肢の深部静脈血栓症との関連性が乏しい。本症例のように長時間フライト中のDVTに続発する胸痛・呼吸困難は、肺塞栓症を第一に考えるべきである。
✗ 4. 誤り
閉塞性動脈硬化症
閉塞性動脈硬化症(ASO)は下肢動脈の慢性的な動脈硬化による疾患であり、間欠跛行が主症状である。急性の胸痛・呼吸困難の原因としては考えにくく、またDVTの合併症としても該当しない。
ポイント
  • 深部静脈血栓症(DVT)の最も重篤な合併症は肺塞栓症である。DVTに続く突然の胸痛と呼吸困難は肺塞栓症を強く疑う所見である。
  • DVTと肺塞栓症を合わせて静脈血栓塞栓症(VTE)と呼ぶ。肺塞栓症の三大症状は突然の胸痛・呼吸困難・頻脈である。
  • 肺塞栓症の予防:長時間フライト時の弾性ストッキング着用、適度な下肢運動、十分な水分摂取が重要である。
  • 重要用語: 肺塞栓症, 深部静脈血栓症, 静脈血栓塞栓症, エコノミークラス症候群, 突然死 を正確に理解しておくこと。
比較表
経過 症状 疾患
長時間座位 → 下肢腫脹・把握痛 片側下腿の腫脹・疼痛 深部静脈血栓症
DVTに続いて出現 胸痛・呼吸困難・頻脈 肺塞栓症
解説画像
あマ指 第30回(2022) 問題80|「68歳の女性。国際線の機内で左下腿が次第に腫脹してきた。熱感や冷感はない。 左ふくらはぎに把握痛がある。」その後、胸痛と呼吸困難が出現してきた。最も考えられるのはどれか。 解説図
あマ指 第30回(2022) 問題80|「68歳の女性。国際線の機内で左下腿が次第に腫脹してきた。熱感や冷感はない。 左ふくらはぎに把握痛がある。」その後、胸痛と呼吸困難が出現してきた。最も考えられるのはどれか。
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