学習トップ理由で解く 臨床医学各論第8章 ▸ H. 外傷 / Q0870

理由で解く 臨床医学各論

Q0870 整形外科疾患

出典:鍼灸 第32回(2024) 問題83
問題
次の文で示す症例について、問いに答えよ。「3歳の女児。滑り台から落ちて右手をつき、右肘過伸展を強いられ受傷。近医を受診、右肘部変形があり、肘部前面の皮下出血と示指・中指のしびれが認められた。」最も考えられる診断はどれか。
選択肢
1 上腕骨外科頸骨折
2 上腕骨骨幹部骨折
3 上腕骨顆上骨折
4 上腕骨外顆骨折
解答
正解3(上腕骨顆上骨折)
解説
✗ 1. 誤り
上腕骨外科頸骨折
上腕骨外科頸骨折は肩関節近位部(上腕骨の外科頸)の骨折であり、高齢者の転倒で好発する。 肘部の変形は生じず、受傷部位も機序も本症例と一致しない。
✗ 2. 誤り
上腕骨骨幹部骨折
上腕骨骨幹部骨折は上腕の中央部の骨折であり、橈骨神経麻痺(下垂手)を合併しやすい。 肘部の変形は生じず、示指・中指のしびれ(正中神経領域)とは合致しない。
✓ 3. 正しい
上腕骨顆上骨折
本症例は3歳の小児が転倒時に手をつき肘過伸展を強いられて受傷しており、上腕骨顆上骨折が最も考えられる。 上腕骨顆上骨折は小児の肘関節周囲骨折で最も頻度が高く、転倒時に手をついて肘が過伸展されることで受傷する。肘部変形・腫脹・皮下出血が特徴的である。 示指・中指のしびれは正中神経の圧迫を示唆し、上腕骨顆上骨折では正中神経や上腕動脈の損傷に注意が必要である(フォルクマン拘縮の原因)。
✗ 4. 誤り
上腕骨外顆骨折
上腕骨外顆骨折は小児に生じうるが、顆上骨折に比べて頻度はかなり低い。 外顆骨折後の後遺症としては外反肘→遅発性尺骨神経麻痺が特徴的であるが、急性期の所見としては本症例に合致しない。
ポイント
  • 小児の転倒・手をつく・肘過伸展の受傷機転は上腕骨顆上骨折を強く示唆する。
  • 顆上骨折では正中神経障害(示指・中指のしびれ)と上腕動脈損傷(フォルクマン拘縮)の合併に注意する。
  • フォルクマン拘縮は前腕の阻血性拘縮であり、上腕動脈損傷による血流障害が原因で不可逆的な筋壊死をきたす重篤な合併症である。
  • 重要用語: 上腕骨顆上骨折, 小児, 肘過伸展, 正中神経障害, フォルクマン拘縮 を正確に理解しておくこと。
比較表
骨折の種類 好発年齢 合併しやすい障害
上腕骨外科頸骨折 高齢者 腋窩神経麻痺
上腕骨骨幹部骨折 成人 橈骨神経麻痺(下垂手)
上腕骨顆上骨折 小児 正中神経障害・上腕動脈損傷
上腕骨外顆骨折 小児 外反肘→遅発性尺骨神経麻痺
解説画像
鍼灸 第32回(2024) 問題83|次の文で示す症例について、問いに答えよ。「3歳の女児。滑り台から落ちて右手をつき、右肘過伸展を強いられ受傷。近医を受診、右肘部変形があり、肘部前面の皮下出血と示指・中指のしびれが認められた。」最も考えられる診断はどれか。 解説図
鍼灸 第32回(2024) 問題83|次の文で示す症例について、問いに答えよ。「3歳の女児。滑り台から落ちて右手をつき、右肘過伸展を強いられ受傷。近医を受診、右肘部変形があり、肘部前面の皮下出血と示指・中指のしびれが認められた。」最も考えられる診断はどれか。
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