学習トップ理由で解く 臨床医学各論第8章 ▸ H. 外傷 / Q0860

理由で解く 臨床医学各論

Q0860 整形外科疾患

出典:鍼灸 第30回(2022) 問題52
問題
外傷とその原因の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 手舟状骨骨折 ― 手関節掌屈
2 股関節脱臼 ― 車内のダッシュボードへの膝の衝突
3 上腕骨顆上骨折 ― 上肢の急激な牽引
4 第5中足骨基部裂離骨折 ― 足部外がえし
解答
正解2(股関節脱臼------車内のダッシュボードへの膝の衝突)
解説
✗ 1. 誤り
手舟状骨骨折 ― 手関節掌屈
手舟状骨骨折は手関節の背屈(掌屈ではない)で受傷する。 転倒時に手をついて手関節が過背屈された際に、舟状骨腰部に剪断力が加わり骨折する。解剖学的嗅ぎタバコ窩(anatomical snuff box)の圧痛が特徴的であり、骨折線が初期X線で見逃されやすいため注意が必要である。
✓ 2. 正しい
股関節脱臼 ― 車内のダッシュボードへの膝の衝突
股関節脱臼(後方脱臼)は正面衝突の交通事故でダッシュボードに膝をぶつけた際に発生することが多い(ダッシュボード損傷)。 膝が屈曲位でダッシュボードに衝突すると、大腿骨長軸方向に外力が伝わり大腿骨頭が後方に脱臼する。坐骨神経損傷を合併しやすく、24時間以内(できれば6時間以内)に整復しないと大腿骨頭壊死の頻度が著しく高くなるため、緊急の対応が必要である。
✗ 3. 誤り
上腕骨顆上骨折 ― 上肢の急激な牽引
上腕骨顆上骨折は転倒時に手や肘をついて受傷する(肘関節伸展位での転倒)のが典型的であり、上肢の急激な牽引は肘内障(橈骨頭亜脱臼)の原因である。 上腕骨顆上骨折は5〜10歳の小児に好発し、前腕の阻血性拘縮(フォルクマン拘縮)を合併しうるため注意が必要である。
✗ 4. 誤り
第5中足骨基部裂離骨折 ― 足部外がえし
第5中足骨基部裂離骨折は足部の内がえし(内反)で生じる。外がえし(外反)ではない。 足関節内反時に短腓骨筋の牽引力により第5中足骨基部が裂離する(下駄骨折とも呼ばれる)。内反捻挫で外果骨折が生じない場合に裂離骨折が起こることがある。
ポイント
  • 股関節後方脱臼はダッシュボード損傷の代表例であり、坐骨神経損傷と大腿骨頭壊死の合併に注意する
  • 手舟状骨骨折は背屈(掌屈ではない)、第5中足骨基部裂離骨折は内がえし(外がえしではない)が正しい受傷機転であり、方向の取り違えに注意する
  • 上肢の急激な牽引は肘内障の原因であり、上腕骨顆上骨折の受傷機転ではない
  • 重要用語: ダッシュボード損傷, 股関節後方脱臼, 肘内障, 手舟状骨骨折 を正確に理解しておくこと。
比較表
外傷 正しい受傷機転 誤りやすい受傷機転
手舟状骨骨折 手関節背屈(転倒時手をつく) 手関節掌屈
股関節脱臼(後方) ダッシュボード損傷
上腕骨顆上骨折 転倒で肘をつく(肘伸展位) 上肢の牽引(→肘内障)
第5中足骨基部裂離骨折 足部内がえし(内反) 足部外がえし(外反)
解説画像
鍼灸 第30回(2022) 問題52|外傷とその原因の組合せで正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第30回(2022) 問題52|外傷とその原因の組合せで正しいのはどれか。
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