学習トップ理由で解く 臨床医学各論第8章 ▸ F. 脊椎疾患 / Q0773

理由で解く 臨床医学各論

Q0773 整形外科疾患

出典:鍼灸 第26回(2018) 問題79
問題
「62歳の男性。右側の腰から下肢にかけての痛み、しびれがある。歩くと痛みは強くなり歩けなくなるが、休むと再び歩けるようになる。足関節・上腕血圧比は10であった。」本症例の徒手検査所見で陽性を示すのはどれか。
選択肢
1 SLRテスト
2 ケンプ徴候
3 大腿神経伸展テスト
4 K・ボンネットテスト
解答
正解2(ケンプ徴候)
解説
✗ 1. 誤り
SLRテスト
SLR(下肢伸展挙上)テストは、膝伸展位で下肢を挙上して坐骨神経を伸展させ、腰椎椎間板ヘルニア(特にL4/5、L5/S1)による神経根圧迫を検出する検査である。腰部脊柱管狭窄症ではSLRテストは陰性であることが多く、椎間板ヘルニアとの重要な鑑別点の一つとなる。
✓ 2. 正しい
ケンプ徴候
本症例は62歳男性で、歩行時に増悪し休息で軽快する間欠性跛行を呈している。ABI(足関節・上腕血圧比)が正常値(1.0)であることから、血管性ではなく神経性間欠性跛行、すなわち腰部脊柱管狭窄症と判断できる。ケンプ徴候は腰椎を後側屈させた際に脊柱管が狭窄し、下肢への放散痛が出現する所見である。後屈により脊柱管が狭小化するため症状が誘発され、腰部脊柱管狭窄症で陽性となる。
✗ 3. 誤り
大腿神経伸展テスト
大腿神経伸展テスト(FNSテスト)は、腹臥位で膝を屈曲させて股関節を伸展し、大腿前面の放散痛を誘発する検査である。上位腰椎(L2〜L4)の神経根障害の診断に用いられ、腰部脊柱管狭窄症に特異的な検査ではない。
✗ 4. 誤り
K・ボンネットテスト
K・ボンネット(K-Bonnet)テストは、側臥位で股関節を屈曲・内転・内旋させて梨状筋を伸張し、殿部から下肢への放散痛を誘発する検査である。梨状筋症候群の診断に用いられるものであり、腰部脊柱管狭窄症の検査ではない。
ポイント
  • 間欠性跛行でABIが正常であれば神経性(腰部脊柱管狭窄症)、ABIが低下していれば血管性(閉塞性動脈硬化症)を考える
  • 腰部脊柱管狭窄症ではSLRテストは陰性であることが多く、椎間板ヘルニアとの鑑別に有用である
  • ケンプ徴候は後側屈による脊柱管の狭小化で症状を誘発する検査であり、脊柱管狭窄症で陽性となる
  • 重要用語: 腰部脊柱管狭窄症, 神経性間欠性跛行, ABI, ケンプ徴候, SLRテスト を正確に理解しておくこと。
比較表
鑑別点 腰部脊柱管狭窄症 閉塞性動脈硬化症
間欠性跛行の種類 神経性 血管性
ABI 正常(1.0前後) 低下(0.9以下)
前屈での改善 あり なし
SLRテスト 陰性が多い 関連なし
足背動脈拍動 正常 減弱・消失
解説画像
鍼灸 第26回(2018) 問題79|「62歳の男性。右側の腰から下肢にかけての痛み、しびれがある。歩くと痛みは強くなり歩けなくなるが、休むと再び歩けるようになる。足関節・上腕血圧比は10であった。」本症例の徒手検査所見で陽性を示すのはどれか。 解説図
鍼灸 第26回(2018) 問題79|「62歳の男性。右側の腰から下肢にかけての痛み、しびれがある。歩くと痛みは強くなり歩けなくなるが、休むと再び歩けるようになる。足関節・上腕血圧比は10であった。」本症例の徒手検査所見で陽性を示すのはどれか。
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