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理由で解く 臨床医学各論

Q0730 整形外科疾患

出典:鍼灸 第31回(2023) 問題66
問題
中殿筋機能が低下して起こるのはどれか。
選択肢
1 アリス徴候
2 クリック徴候
3 ドレーマン徴候
4 トレンデレンブルグ徴候
解答
正解4(トレンデレンブルグ徴候)
解説
✗ 1. 誤り
アリス徴候
アリス徴候(Allis sign)は発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)の診断に用いる所見である。仰臥位で両膝を屈曲して立てた際に患側の膝が健側より低くなる現象で、大腿骨頭の脱臼による大腿骨の見かけ上の短縮を反映する。 Galeazzi徴候(ガレアッチ徴候)とも呼ばれ、片側性脱臼のスクリーニングに有用である。中殿筋機能低下とは直接関連しない。
✗ 2. 誤り
クリック徴候
クリック徴候(click sign)は発育性股関節形成不全の診断時に用いるオルトラニテスト(Ortolani test)やバーロウテスト(Barlow test)で触知・聴取される整復音である。脱臼した大腿骨頭が臼蓋内に整復される際に「コクッ」という感触が得られる。 新生児〜乳児期早期の股関節脱臼スクリーニングに用いられる所見であり、中殿筋機能低下とは無関係である。
✗ 3. 誤り
ドレーマン徴候
ドレーマン徴候(Drehmann sign)は大腿骨頭すべり症の特徴的所見である。股関節を屈曲させると、下肢が自動的に外旋・外転する現象で、骨頭の後下方すべりにより股関節の正常な運動が妨げられるために生じる。 思春期の肥満男児で股関節痛や跛行を呈する場合に確認すべき徴候である。中殿筋機能低下とは関連しない。
✓ 4. 正しい
トレンデレンブルグ徴候
中殿筋機能が低下するとトレンデレンブルグ徴候(Trendelenburg sign)が出現する。患側の片脚立位をとらせた際に、健側の骨盤が下降する現象である。中殿筋は股関節外転筋として立脚期に骨盤を水平に保つ役割を担い、この機能が低下すると反対側の骨盤を支えられなくなる。 歩行時にはトレンデレンブルグ歩行(動揺性歩行)がみられ、立脚期ごとに健側の骨盤が下がる。変形性股関節症、先天性股関節脱臼、筋ジストロフィーなどで陽性となる。
ポイント
  • トレンデレンブルグ徴候は中殿筋機能低下を示す所見で、患側片脚立位時に健側の骨盤が下降する
  • アリス徴候・クリック徴候は股関節脱臼、ドレーマン徴候は大腿骨頭すべり症の所見であり区別する
  • トレンデレンブルグ歩行(動揺性歩行)は変形性股関節症の歩行障害として重要である
  • 重要用語: トレンデレンブルグ徴候と中殿筋機能低下の関係 を正確に理解しておくこと。
比較表
徴候名 関連疾患 検査方法・特徴
トレンデレンブルグ徴候 中殿筋機能低下(変形性股関節症等) 患側片脚立位で健側骨盤が下降
アリス徴候 発育性股関節形成不全 仰臥位両膝屈曲で患側の膝が低い
クリック徴候 発育性股関節形成不全 オルトラニ/バーロウテストでの整復音
ドレーマン徴候 大腿骨頭すべり症 股関節屈曲時に自動的に外旋・外転
解説画像
鍼灸 第31回(2023) 問題66|中殿筋機能が低下して起こるのはどれか。 解説図
鍼灸 第31回(2023) 問題66|中殿筋機能が低下して起こるのはどれか。
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