学習トップ理由で解く 臨床医学各論第8章 ▸ E. 形態異常 / Q0710

理由で解く 臨床医学各論

Q0710 整形外科疾患

出典:あマ指 第4回(1996) 問題93
問題
先天性股関節脱臼の症状で正しい記述はどれか。
選択肢
1 大腿内側皮膚溝は左右対称である。
2 下肢の延長がみられる。
3 開排制限がみられる。
4 歩行開始後には大転子低位がみられる。
解答
正解3(開排制限がみられる)
解説
✗ 1. 誤り
大腿内側皮膚溝は左右対称である。
先天性股関節脱臼では患側の大腿骨頭が後外上方に転位し、下肢が短縮・外旋位をとる。その結果、患側の大腿内側皮膚溝は健側より深く、数も多く、長くなり左右非対称となる。皮膚溝の非対称は乳児健診で発見されやすい重要な視覚的所見である。
✗ 2. 誤り
下肢の延長がみられる。
先天性股関節脱臼では大腿骨頭が後外上方に転位するため、見かけ上の下肢長は短縮する。両膝を立てた状態で膝の高さを比較すると患側が低くなる所見をアリス徴候(Allis sign)という。下肢の延長ではなく短縮が正しい。
✓ 3. 正しい
開排制限がみられる。
先天性股関節脱臼では大腿骨頭が臼蓋から逸脱しているため、股関節外転時に抵抗が生じ開排制限を呈する。健側と比較して外転角度が減少し、おむつ替え時に両下肢の開きが非対称であることから発見される。開排制限は新生児期から認められる最重要所見であり、3〜4か月健診の主要なスクリーニング項目である。
✗ 4. 誤り
歩行開始後には大転子低位がみられる。
先天性股関節脱臼では大腿骨頭の上方転位に伴い大転子も相対的に高位となる。大転子低位ではなく大転子高位が正しい。歩行開始後には中殿筋機能不全によるトレンデレンブルグ歩行を呈し、両側脱臼ではあひる歩行(動揺性歩行)となる。
ポイント
  • 開排制限は先天性股関節脱臼の最重要所見であり、新生児期から確認可能なスクリーニング項目である
  • 大腿骨頭の上方転位により下肢短縮(延長ではない)と大転子高位(低位ではない)が生じる
  • 皮膚溝は患側で深く数が多い非対称所見を呈し、左右対称ではない
  • 重要用語: 開排制限, アリス徴候, 大転子高位, 皮膚溝非対称 を正確に理解しておくこと。
比較表
主な身体所見 所見の内容 出現時期
開排制限 股関節外転の制限(最重要) 新生児期から
皮膚溝非対称 患側のしわが深く多い 乳児期から
アリス徴候 膝の高さの左右差(下肢短縮) 乳児期から
大転子高位 骨頭上方転位に伴う 乳児期から
トレンデレンブルグ徴候 患側立脚時の骨盤傾斜 歩行期以降
解説画像
あマ指 第4回(1996) 問題93|先天性股関節脱臼の症状で正しい記述はどれか。 解説図
あマ指 第4回(1996) 問題93|先天性股関節脱臼の症状で正しい記述はどれか。
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