学習トップ理由で解く 臨床医学各論第8章 ▸ D. 筋・腱疾患 / Q0702

理由で解く 臨床医学各論

Q0702 整形外科疾患

出典:あマ指 第26回(2018) 問題74
問題
「65歳の男性。久しぶりに山歩きをした。その日は症状はなかったが、2日後に下肢の筋肉に強い痛みが起こり来院した。」本症例の下肢の筋肉痛で最も適切なのはどれか。
選択肢
1 肉ばなれによる筋肉痛
2 筋線維の損傷による筋肉痛
3 下腿の虚血による筋肉痛
4 筋膜の炎症による筋肉痛
解答
正解2(筋線維の損傷による筋肉痛)
解説
✗ 1. 誤り
肉ばなれによる筋肉痛
肉ばなれ(筋断裂)は運動中に突然の激痛とともに発症する急性の筋損傷であり、運動中その場で動けなくなるほどの症状が出る。本症例のように運動当日は無症状で2日後に発症するという経過とは明らかに異なる。
✓ 2. 正しい
筋線維の損傷による筋肉痛
本症例は遅発性筋肉痛(DOMS: Delayed Onset Muscle Soreness)の典型例である。久しぶりの運動(山歩き)の2日後に筋肉痛が出現するという経過は、伸張性収縮(エキセントリック収縮)により筋線維に微細な損傷が生じ、その後の炎症反応により疼痛が遅れて出現するという遅発性筋肉痛の病態に合致する。山歩きの下り坂では大腿四頭筋がエキセントリック収縮を繰り返し、筋線維が損傷される。
✗ 3. 誤り
下腿の虚血による筋肉痛
下腿の虚血による筋肉痛は閉塞性動脈硬化症(ASO)などの動脈閉塞性疾患でみられる間欠跛行であり、歩行中に出現し安静で軽快するのが特徴である。運動の2日後に発症する本症例の経過とは病態が全く異なる。
✗ 4. 誤り
筋膜の炎症による筋肉痛
筋膜の炎症(筋膜炎)は慢性的な過負荷やストレスにより起こりうるが、本症例のように久しぶりの運動後2日で生じる典型的な筋肉痛の主因としては筋線維の微細損傷(遅発性筋肉痛)が最も適切である。
ポイント
  • 遅発性筋肉痛(DOMS)は運動後24〜72時間(1〜3日後)に出現する筋肉痛であり、伸張性収縮(エキセントリック収縮)による筋線維の微細損傷が原因である。
  • 山歩きの下り坂では大腿四頭筋のエキセントリック収縮が繰り返されるため、DOMSが発生しやすい。
  • 鑑別として、肉ばなれは運動中に突然発症、ASOによる間欠跛行は歩行中に出現し安静で軽快するため、2日後の発症とは経過が異なる。
  • 重要用語: 遅発性筋肉痛, DOMS, 筋線維損傷, エキセントリック収縮, 間欠跛行 を正確に理解しておくこと。
解説画像
あマ指 第26回(2018) 問題74|「65歳の男性。久しぶりに山歩きをした。その日は症状はなかったが、2日後に下肢の筋肉に強い痛みが起こり来院した。」本症例の下肢の筋肉痛で最も適切なのはどれか。 解説図
あマ指 第26回(2018) 問題74|「65歳の男性。久しぶりに山歩きをした。その日は症状はなかったが、2日後に下肢の筋肉に強い痛みが起こり来院した。」本症例の下肢の筋肉痛で最も適切なのはどれか。
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