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理由で解く 臨床医学各論

Q0636 整形外科疾患

出典:あマ指 第18回(2010) 問題73
問題
「50歳の女性。子供の頃、先天性股関節脱臼で治療を受けたことがある。最近、左股関節部に痛みがあり跛行するようになった。エックス線検査の結果、変形性股関節症と診断された。」この患者への指導で誤っているのはどれか。
選択肢
1 体重の減量
2 左手での杖使用
3 プール内歩行
4 進行した場合の人工関節の適応
解答
正解2(左手での杖使用)
解説
✗ 1.
体重の減量
✗ 正しい。体重減量は股関節への荷重負荷を軽減する基本的かつ有効な保存的治療である。肥満は変形性関節症の増悪因子であり、体重を減らすことで関節面にかかるメカニカルストレスが直接的に軽減される。「股関節への負担を減らすために体重減量」が生活指導として挙げられている。
✓ 2. 誤り
左手での杖使用
左股関節が患側である場合、杖は患側と反対側の手(右手)で使用するのが正しい。左手での杖使用は患側と同側であり、歩行時の体重負荷軽減効果が十分に得られない。杖を反対側の手で持つことで、患側立脚期に杖側に体重を分散させ、股関節への負荷を効果的に軽減できる。この原理はバイオメカニクスに基づいており、国試で頻出の知識である。
✗ 3.
プール内歩行
✗ 正しい。プール内歩行は水の浮力により膝・股関節への荷重負荷が大幅に軽減された状態で運動できるため、変形性関節症の運動療法として極めて適切である。水中歩行は膝にかかる体重の負荷が少なくてすむので合理的である。関節に過度な負担をかけず筋力維持・改善が図れる利点がある。
✗ 4.
進行した場合の人工関節の適応
✗ 正しい。保存的治療で症状の改善が不十分で、関節裂隙が消失した末期例では人工関節全置換術の適応がある。60代以降では日常生活に支障を及ぼす場合には人工関節全置換術を行う。本患者は50歳であり、まず保存的治療を行い、進行した場合に人工関節を検討するという説明は適切な指導である。
ポイント
  • 杖は患側と「反対側」の手で使用する。左股関節が患側なら右手に杖を持つ。同側の手での杖使用は荷重分散の原理に反するため誤りである
  • 変形性股関節症は二次性が多く(約80%)、先天性股関節脱臼・臼蓋形成不全が主な原因である。本症例はまさにその典型例である
  • 水中歩行は浮力を利用した関節に優しい運動療法であり、変形性関節症の患者に積極的に推奨される
  • 人工関節全置換術は末期例の手術療法であり、進行した場合の選択肢として患者への説明は適切である
  • 重要用語: 杖の使用法(反対側の手), 変形性股関節症の二次性 を正確に理解しておくこと。
比較表
変形性股関節症の保存的治療 内容
体重減量 関節面への荷重負荷を直接軽減
杖の使用 患側と反対側の手で使用する
水中歩行 浮力で関節負荷を軽減しつつ運動
筋力訓練 関節周囲筋の強化による安定化
人工関節置換術 末期例・日常生活に支障がある場合
解説画像
あマ指 第18回(2010) 問題73|「50歳の女性。子供の頃、先天性股関節脱臼で治療を受けたことがある。最近、左股関節部に痛みがあり跛行するようになった。エックス線検査の結果、変形性股関節症と診断された。」この患者への指導で誤っているのはどれか。 解説図
あマ指 第18回(2010) 問題73|「50歳の女性。子供の頃、先天性股関節脱臼で治療を受けたことがある。最近、左股関節部に痛みがあり跛行するようになった。エックス線検査の結果、変形性股関節症と診断された。」この患者への指導で誤っているのはどれか。
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