学習トップ理由で解く 臨床医学各論第7章 ▸ A. 糖代謝異常 / Q0555

理由で解く 臨床医学各論

Q0555 代謝・栄養疾患

出典:鍼灸 第29回(2021) 問題83
問題
「70歳の男性。約20年前に2型糖尿病と診断され薬物治療を受けている。最近急に複視が出現した。正中視で右眼は外転位をとっている。対光反射は異常なく眼瞼下垂もない。」障害されている脳神経はどれか。
選択肢
1 視神経
2 動眼神経
3 滑車神経
4 外転神経
解答
正解2(動眼神経)
解説
✗ 1. 誤り
視神経
視神経(第II脳神経)は視覚情報を伝える感覚神経であり、障害されると視力低下や視野欠損が生じる。視神経は眼球運動には関与しないため、障害されても眼球の外転位や複視は生じない。視神経障害では対光反射の求心路が障害され、患側の直接対光反射と健側の間接対光反射が消失する(RAPD陽性)。
✓ 2. 正しい
動眼神経
動眼神経(第III脳神経)は内側直筋・上直筋・下直筋・下斜筋の4つの外眼筋と上眼瞼挙筋を支配する。動眼神経麻痺では内側直筋の機能が失われるため、外側直筋(外転神経支配)の作用が優位となり、眼球は外転位をとる。本症例の「正中視で右眼が外転位」はこれに一致する。糖尿病性動眼神経麻痺では、神経中心部の運動線維が虚血により障害される一方、瞳孔を支配する副交感神経線維は神経外周を走行するため保たれやすく、対光反射正常・眼瞼下垂なし(不完全麻痺)となることが特徴的である。
✗ 3. 誤り
滑車神経
滑車神経(第IV脳神経)は上斜筋のみを支配する。上斜筋の作用は眼球の内旋・下転・外転であり、滑車神経麻痺では下方視時の複視が特徴的である。患者は代償的に頭を健側に傾ける(head tilt)。正中視での外転位は生じない。
✗ 4. 誤り
外転神経
外転神経(第VI脳神経)は外側直筋のみを支配する。外転神経麻痺では外側直筋の機能が失われ、内側直筋の作用が優位となるため、眼球は内転位をとる。本症例は外転位であるため、外転神経障害ではなく動眼神経障害と判断できる。外転位と内転位の区別は最重要ポイントである。
ポイント
  • 動眼神経麻痺の三徴:眼球外転位(内側直筋麻痺)、眼瞼下垂(上眼瞼挙筋麻痺)、散瞳(瞳孔括約筋麻痺)。糖尿病性の場合は瞳孔が保たれる不完全麻痺が多い。
  • 外転位=動眼神経(III)障害、内転位=外転神経(VI)障害。眼位の偏位方向から障害神経を判断する。
  • 糖尿病性と圧迫性の鑑別:糖尿病性は瞳孔所見正常(神経中心部の虚血)、圧迫性(動脈瘤など)は散瞳(神経外周部の瞳孔線維が障害)。
  • 重要用語: 動眼神経麻痺、外転位、対光反射、糖尿病性微小血管障害 を正確に理解しておくこと。
比較表
障害神経 支配筋 眼位偏位 特徴的症状
動眼神経(III) 内側直筋、上直筋、下直筋、下斜筋、上眼瞼挙筋 外転位・下転位 眼瞼下垂、散瞳(完全麻痺時)
滑車神経(IV) 上斜筋 上斜位 下方視で複視増悪、head tilt
外転神経(VI) 外側直筋 内転位 外転制限、水平複視
解説画像
鍼灸 第29回(2021) 問題83|「70歳の男性。約20年前に2型糖尿病と診断され薬物治療を受けている。最近急に複視が出現した。正中視で右眼は外転位をとっている。対光反射は異常なく眼瞼下垂もない。」障害されている脳神経はどれか。 解説図
鍼灸 第29回(2021) 問題83|「70歳の男性。約20年前に2型糖尿病と診断され薬物治療を受けている。最近急に複視が出現した。正中視で右眼は外転位をとっている。対光反射は異常なく眼瞼下垂もない。」障害されている脳神経はどれか。
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