学習トップ理由で解く 臨床医学各論第7章 ▸ A. 糖代謝異常 / Q0545

理由で解く 臨床医学各論

Q0545 代謝・栄養疾患

出典:あマ指 第17回(2009) 問題87
問題
糖尿病性眼病変で起こりにくいのはどれか。
選択肢
1 網膜白斑
2 網膜出血
3 うっ血乳頭
4 白内障
解答
正解3(うっ血乳頭)
解説
✗ 1.
網膜白斑
✗ 正しい。糖尿病性網膜症では血管透過性亢進により、血漿成分が網膜に滲出して硬性白斑(脂質・蛋白の沈着物で黄白色の境界明瞭な斑)が形成される。また、網膜虚血により毛細血管の閉塞が起こると、神経線維層の梗塞として軟性白斑(綿花様白斑、境界不鮮明な白色斑)も出現する。いずれも糖尿病性網膜症の典型的な眼底所見である。
✗ 2.
網膜出血
✗ 正しい。網膜の毛細血管障害により点状出血や斑状出血が特徴的にみられる。高血糖の持続によって毛細血管の基底膜が肥厚し、血管壁が脆弱化して毛細血管瘤が形成される。これが破綻して点状出血・斑状出血を引き起こす。網膜出血は単純網膜症の段階から出現する初期所見のひとつである。
✓ 3. 誤り
うっ血乳頭
うっ血乳頭は視神経乳頭が腫脹・隆起する所見であり、脳腫瘍、脳膿瘍、水頭症などによる頭蓋内圧亢進時に両側性にみられる。頭蓋内圧上昇によりくも膜下腔の圧が視神経鞘に伝わり、軸索流がうっ滞して乳頭浮腫を生じる機序である。糖尿病による眼病変の機序(細小血管障害・ソルビトール蓄積)とは全く異なるため、糖尿病性眼病変としては起こりにくい。
✗ 4.
白内障
✗ 正しい。糖尿病では水晶体内でポリオール経路が亢進し、グルコースがアルドース還元酵素によりソルビトールに変換される。ソルビトールは細胞膜を透過しにくいため水晶体内に蓄積し、浸透圧上昇による水晶体線維の膨化・混濁をきたす。これが糖尿病性白内障の機序であり、若年発症の後嚢下白内障が特徴的である。
ポイント
  • 糖尿病性眼病変には網膜症(網膜出血、硬性白斑、軟性白斑、毛細血管瘤、新生血管)と白内障(ソルビトール蓄積)がある。
  • うっ血乳頭は頭蓋内圧亢進の徴候であり、脳腫瘍・水頭症などを示唆する。糖尿病性眼病変とは病態が異なる。
  • 糖尿病性白内障の機序:ポリオール経路亢進→ソルビトール蓄積→浸透圧上昇→水晶体混濁。
  • 重要用語: 硬性白斑、軟性白斑、毛細血管瘤、うっ血乳頭、ソルビトール を正確に理解しておくこと。
比較表
所見 糖尿病性眼病変 うっ血乳頭
原因 細小血管障害・ソルビトール蓄積 頭蓋内圧亢進
好発疾患 糖尿病 脳腫瘍、水頭症、脳膿瘍
主な所見 網膜出血、白斑、白内障 視神経乳頭の腫脹・隆起
左右差 両眼性 通常両側性
解説画像
あマ指 第17回(2009) 問題87|糖尿病性眼病変で起こりにくいのはどれか。 解説図
あマ指 第17回(2009) 問題87|糖尿病性眼病変で起こりにくいのはどれか。
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