学習トップ理由で解く 臨床医学各論第7章 ▸ A. 糖代謝異常 / Q0542

理由で解く 臨床医学各論

Q0542 代謝・栄養疾患

出典:あマ指 第15回(2007) 問題71
問題
糖尿病性神経障害でみられるのはどれか。
選択肢
1 振動覚低下
2 ブルジンスキー徴候
3 バビンスキー反射
4 筋強剛
解答
正解1(振動覚低下)
解説
✓ 1. 正しい
振動覚低下
糖尿病性神経障害では末梢感覚神経が障害され、振動覚低下がみられる。音叉(128Hzまたは256Hz)を用いた振動覚検査で、足関節内果や母趾の振動感覚が低下・消失する。振動覚は深部感覚の一つであり、太い有髄神経線維(Aβ線維)で伝えられるため、神経障害の比較的早期から障害される。下肢遠位部から障害が始まり、左右対称性の手袋靴下型分布を示す。振動覚検査は糖尿病性神経障害のスクリーニングとして臨床で広く用いられている。
✗ 2. 誤り
ブルジンスキー徴候
ブルジンスキー徴候は髄膜刺激症状の一つであり、糖尿病性神経障害ではみられない。仰臥位の患者の頭部を他動的に前屈させると、両側の股関節・膝関節が反射的に屈曲する現象である。髄膜炎やくも膜下出血などで髄膜に炎症・刺激がある場合に陽性となる。他の髄膜刺激症状として項部硬直・ケルニッヒ徴候がある。中枢神経系(髄膜)の異常所見であり、末梢神経障害とは無関係である。
✗ 3. 誤り
バビンスキー反射
バビンスキー反射(バビンスキー徴候)は上位運動ニューロン(錐体路)障害を示す病的反射であり、末梢神経障害である糖尿病性神経障害ではみられない。足底外側を踵から足趾方向へ擦過すると、正常では足趾が底屈するが、錐体路障害があると母趾が背屈し他の足趾が扇状に開く。脳卒中・脊髄疾患・多発性硬化症などの上位運動ニューロン疾患で陽性となる。
✗ 4. 誤り
筋強剛
筋強剛(固縮、rigidity)は錐体外路障害(大脳基底核障害)の所見であり、糖尿病性神経障害ではみられない。パーキンソン病の四大徴候の一つであり、他動的に関節を動かすと全可動域にわたって持続的な抵抗を感じる。鉛管様強剛(一様な抵抗)と歯車様強剛(カクカクとした断続的抵抗)がある。糖尿病性神経障害は末梢神経障害であり、筋緊張は正常または低下する。
ポイント
  • 糖尿病性神経障害は「末梢神経障害」であることを常に意識する。ブルジンスキー徴候は髄膜刺激症状、バビンスキー反射は錐体路障害、筋強剛は錐体外路障害であり、いずれも末梢神経障害ではみられない。
  • 神経学的所見と障害部位の対応を整理する:振動覚低下→末梢神経障害、バビンスキー反射→錐体路障害(上位運動ニューロン)、筋強剛→錐体外路障害(大脳基底核)、髄膜刺激症状→髄膜の炎症・刺激。
  • 重要用語: 振動覚低下、手袋靴下型分布、ブルジンスキー徴候、バビンスキー反射、筋強剛 を正確に理解しておくこと。
比較表
神経学的所見 障害部位 代表的疾患 糖尿病性神経障害
振動覚低下・腱反射低下 末梢神経(下位運動ニューロン) 糖尿病性神経障害、ギラン・バレー みられる
バビンスキー反射陽性 錐体路(上位運動ニューロン) 脳卒中、脊髄疾患 みられない
筋強剛(固縮) 錐体外路(大脳基底核) パーキンソン病 みられない
ブルジンスキー徴候陽性 髄膜 髄膜炎、くも膜下出血 みられない
解説画像
あマ指 第15回(2007) 問題71|糖尿病性神経障害でみられるのはどれか。 解説図
あマ指 第15回(2007) 問題71|糖尿病性神経障害でみられるのはどれか。
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