学習トップ理由で解く 臨床医学各論第7章 ▸ A. 糖代謝異常 / Q0538

理由で解く 臨床医学各論

Q0538 代謝・栄養疾患

出典:あマ指 第9回(2001) 問題92
問題
糖尿病性昏睡時の呼気の臭いはどれか。
選択肢
1 アセトン臭
2 メープルシロップ臭
3 アルコール臭
4 アンモニア臭
解答
正解1(アセトン臭)
解説
✓ 1. 正しい
アセトン臭
糖尿病性ケトアシドーシスによる昏睡では、呼気に特徴的なアセトン臭(果実様の甘い臭い、腐ったリンゴのような臭い)がみられる。インスリンの絶対的欠乏により細胞はブドウ糖を利用できず、代替エネルギー源として脂肪分解が亢進する。その結果、肝臓でケトン体(アセト酢酸・β-ヒドロキシ酪酸・アセトン)が大量に産生される。アセトンは揮発性が高く肺から呼気中に排泄されるため、特徴的な甘い臭いを発する。同時にクスマウル大呼吸もみられる。
✗ 2. 誤り
メープルシロップ臭
メープルシロップ臭はメープルシロップ尿症(楓糖尿症)という先天性アミノ酸代謝異常症でみられる。分岐鎖アミノ酸(ロイシン・イソロイシン・バリン)の脱炭酸酵素(分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素)の欠損により、これらのアミノ酸とそのケト酸が体液中に蓄積し、尿や汗がメープルシロップ(カエデ糖蜜)のような甘い臭いを呈する。新生児期から発症する常染色体劣性遺伝疾患であり、糖尿病とは全く別の疾患である。
✗ 3. 誤り
アルコール臭
アルコール臭はアルコール摂取時や急性・慢性アルコール中毒患者の呼気で認められる臭いであり、糖尿病性昏睡とは関係ない。エタノールやその代謝産物(アセトアルデヒド)が呼気から排泄されることによる。ただし、急性アルコール中毒と糖尿病性ケトアシドーシスは意識障害を伴う救急疾患として鑑別が必要である。
✗ 4. 誤り
アンモニア臭
アンモニア臭は肝性昏睡(肝性脳症)や尿毒症(腎不全末期)で認められる呼気の臭いである。肝性昏睡では肝臓での尿素サイクルによるアンモニア解毒機能が破綻してアンモニアが蓄積し、尿毒症では腎臓からの老廃物排泄が障害されて血中尿素窒素が著明に上昇する。これらが呼気から排泄されて特有の臭いを発する。
ポイント
  • 糖尿病性ケトアシドーシスの3大徴候:アセトン臭(呼気)+クスマウル大呼吸(代償呼吸)+脱水(高血糖による浸透圧利尿)。この3つが揃えば臨床的に診断できる。
  • 呼気の臭いで疾患を鑑別する:アセトン臭→糖尿病性ケトアシドーシス、アンモニア臭→肝性昏睡・尿毒症、メープルシロップ臭→メープルシロップ尿症。国試頻出の知識。
  • 重要用語: 糖尿病性ケトアシドーシス、ケトン体、アセトン臭、アンモニア臭、メープルシロップ尿症 を正確に理解しておくこと。
比較表
呼気の臭い 特徴 原因疾患 病態
アセトン臭 果実様の甘い臭い 糖尿病性ケトアシドーシス ケトン体(アセトン)産生亢進
アンモニア臭 刺激臭 肝性昏睡、尿毒症 アンモニア・尿素窒素蓄積
メープルシロップ臭 カエデ糖蜜様の甘い臭い メープルシロップ尿症 分岐鎖アミノ酸代謝異常
アルコール臭 酒臭 急性アルコール中毒 エタノール・アセトアルデヒド排泄
解説画像
あマ指 第9回(2001) 問題92|糖尿病性昏睡時の呼気の臭いはどれか。 解説図
あマ指 第9回(2001) 問題92|糖尿病性昏睡時の呼気の臭いはどれか。
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