学習トップ理由で解く 臨床医学各論第7章 ▸ A. 糖代謝異常 / Q0537

理由で解く 臨床医学各論

Q0537 代謝・栄養疾患

出典:鍼灸 第8回(2000) 問題74
問題
呼吸とその原因との組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 頻呼吸 ― 脳圧亢進
2 クスマウル大呼吸 ― 糖尿病性アシドーシス
3 起坐呼吸 ― 心不全
4 チェーン・ストークス呼吸 ― 尿毒症
解答
正解1(頻呼吸 ― 脳圧亢進)
解説
✓ 1. 誤り
頻呼吸 ― 脳圧亢進
脳圧亢進では頻呼吸ではなく「徐呼吸」や不規則呼吸がみられる。脳圧が亢進すると延髄の呼吸中枢が圧迫され、クッシング現象(Cushing現象)の一環として徐脈・高血圧・徐呼吸(または不規則呼吸)の三徴を呈する。進行するとビオー呼吸(不規則な呼吸と無呼吸が不規則に交代)や呼吸停止に至る。頻呼吸の原因としては発熱・肺炎・肺塞栓・心不全・貧血・代謝性アシドーシスなどが挙げられ、脳圧亢進は含まれない。
✗ 2.
クスマウル大呼吸 ― 糖尿病性アシドーシス
✗ 正しい。クスマウル大呼吸(Kussmaul呼吸)は代謝性アシドーシスの代償呼吸として正しい組合せである。糖尿病性ケトアシドーシスでは、インスリン欠乏により脂肪分解が亢進しケトン体(酸性物質)が蓄積して血液が酸性に傾く。これを代償するために呼吸中枢が刺激され、CO2を呼気から排泄しようと深く大きな規則的呼吸を行う。呼気にはアセトン臭を伴う。
✗ 3.
起坐呼吸 ― 心不全
✗ 正しい。起坐呼吸は左心不全による肺うっ血で見られる正しい組合せである。左心室のポンプ機能低下により肺静脈圧が上昇し肺うっ血が生じる。臥位になると静脈還流量が増加して肺うっ血が増悪し呼吸困難が強まるため、患者は上半身を起こした座位・半座位をとって呼吸困難の軽減を図る。夜間発作性呼吸困難も同じ機序による。
✗ 4.
チェーン・ストークス呼吸 ― 尿毒症
✗ 正しい。チェーン・ストークス呼吸(Cheyne-Stokes呼吸)は尿毒症で見られる正しい組合せである。呼吸が次第に深く速くなり、その後浅く遅くなって一時的に無呼吸となり、再び同じパターンを周期的に繰り返す。呼吸中枢のCO2感受性低下が原因であり、尿毒症のほか重症心不全、脳血管障害、高齢者の睡眠中にもみられる。
ポイント
  • 脳圧亢進時の呼吸は「徐呼吸」であり「頻呼吸」ではない。クッシング現象の三徴(徐脈・高血圧・徐呼吸)として覚える。
  • クスマウル大呼吸は糖尿病性ケトアシドーシスの代表的所見であり、深く大きな「規則的」呼吸である点がチェーン・ストークス呼吸(周期性・不規則)との鑑別ポイント。
  • 重要用語: 脳圧亢進、クッシング現象、クスマウル大呼吸、起坐呼吸、チェーン・ストークス呼吸 を正確に理解しておくこと。
比較表
異常呼吸 特徴 代表的原因
頻呼吸 呼吸数増加(≧25回/分) 発熱、肺炎、心不全、代謝性アシドーシス
徐呼吸 呼吸数減少(≦12回/分) 脳圧亢進(クッシング現象)、薬物中毒
クスマウル大呼吸 深く大きな規則的呼吸 糖尿病性ケトアシドーシス、尿毒症
起坐呼吸 座位で軽減する呼吸困難 左心不全(肺うっ血)
チェーン・ストークス呼吸 周期性呼吸(漸増→漸減→無呼吸) 尿毒症、重症心不全、脳障害
ビオー呼吸 不規則な呼吸と無呼吸が不規則に交代 脳圧亢進、延髄障害
解説画像
鍼灸 第8回(2000) 問題74|呼吸とその原因との組合せで誤っているのはどれか。 解説図
鍼灸 第8回(2000) 問題74|呼吸とその原因との組合せで誤っているのはどれか。
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