学習トップ理由で解く 臨床医学各論第7章 ▸ A. 糖代謝異常 / Q0533

理由で解く 臨床医学各論

Q0533 代謝・栄養疾患

出典:鍼灸 第4回(1996) 問題77
問題
糖尿病の合併症で適切でないのはどれか。
選択肢
1 網膜症
2 ニューロパチー
3 くも状血管腫
4 腎障害
解答
正解3(くも状血管腫)
解説
✗ 1.
網膜症
✗ 正しい。糖尿病性網膜症は糖尿病三大合併症の一つである。網膜の細小血管障害により、毛細血管瘤・点状出血・硬性白斑(単純網膜症)→軟性白斑・静脈数珠状拡張(増殖前網膜症)→新生血管・硝子体出血・牽引性網膜剥離(増殖網膜症)と段階的に進行し、成人の失明原因の上位を占める。定期的な眼底検査と血糖コントロールが進行予防に不可欠である。
✗ 2.
ニューロパチー
✗ 正しい。糖尿病性ニューロパチー(神経障害)は糖尿病三大合併症の中で最も早期に出現する合併症である。高血糖によるポリオール経路の亢進でソルビトールが蓄積し、さらに微小血管障害(栄養血管の虚血)が加わって末梢神経が障害される。左右対称性の手袋靴下型感覚障害(しびれ・疼痛・感覚鈍麻)や自律神経障害(起立性低血圧・便秘・排尿障害・勃起障害)を呈する。
✓ 3. 誤り
くも状血管腫
くも状血管腫は肝硬変などの慢性肝疾患で見られる皮膚所見であり、糖尿病の合併症ではない。肝臓でのエストロゲン不活化能が低下して血中エストロゲンが増加し、体幹上部の皮膚に中心小動脈から放射状に拡張した細血管が蜘蛛の脚のように見える病変が出現する。肝硬変の他の皮膚所見として手掌紅斑・女性化乳房なども知られている。
✗ 4.
腎障害
✗ 正しい。糖尿病性腎症は糖尿病三大合併症の一つであり、わが国の透析導入原因の第1位(約40%)を占める重要な合併症である。糸球体の細小血管障害により、腎症前期→早期腎症(微量アルブミン尿)→顕性腎症(蛋白尿)→腎不全期→透析療法期と進行する。血糖・血圧コントロールとたんぱく質制限食が進展抑制に重要である。
ポイント
  • 糖尿病三大合併症は細小血管障害に基づく「神経障害・網膜症・腎症」であり、「し・め・じ」(神経・眼・腎臓)と覚える。くも状血管腫は肝硬変の所見であり含まれない。
  • くも状血管腫は肝硬変の身体所見として頻出:手掌紅斑・女性化乳房・腹壁静脈怒張(メドゥーサの頭)・腹水・黄疸なども併せて整理しておくこと。
  • 重要用語: 三大合併症、網膜症、ニューロパチー、腎症、くも状血管腫、肝硬変 を正確に理解しておくこと。
比較表
糖尿病三大合併症 病態 主な症状・所見 出現時期
神経障害 ソルビトール蓄積+微小血管障害 手袋靴下型しびれ、自律神経障害 最も早期(数年)
網膜症 網膜細小血管障害 視力低下、失明 5〜10年
腎症 糸球体細小血管障害 蛋白尿、腎不全、透析 10〜15年
解説画像
鍼灸 第4回(1996) 問題77|糖尿病の合併症で適切でないのはどれか。 解説図
鍼灸 第4回(1996) 問題77|糖尿病の合併症で適切でないのはどれか。
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