学習トップ理由で解く 臨床医学各論第4章 ▸ B. 閉塞性呼吸器疾患 / Q0323

理由で解く 臨床医学各論

Q0323 呼吸器疾患

出典:あマ指 第33回(2025) 問題80
問題
次の症例について、「80歳の男性。毎日40本の喫煙を60年続けている。咳、痰、労作時の息切れを訴えている。胸部エックス線検査では胸水や腫瘤陰影は認めない。」感冒に罹患後、熱はないが呼吸困難が悪化した。また、経皮酸素飽和度の低下を認めた。最も有効な対応はどれか。
選択肢
1 経過観察する。
2 消炎鎮痛薬を投与する。
3 副腎皮質ステロイド薬を投与する。
4 気管挿管を行う。
解答
正解3(副腎皮質ステロイド薬を投与する。)
解説
✗ 1. 誤り
経過観察する。
呼吸困難の悪化と酸素飽和度の低下が認められるCOPD急性増悪に対して、経過観察のみでは不適切である。 積極的な治療介入が必要な状態である。 呼吸困難の増悪と低酸素血症は生命に関わるため、速やかな薬物療法が求められる。
✗ 2. 誤り
消炎鎮痛薬を投与する。
消炎鎮痛薬(NSAIDs)はCOPD急性増悪の治療としては有効でない。 むしろアスピリン喘息のリスクがある場合には気道症状を悪化させる可能性もある。 COPD急性増悪に必要なのは気道炎症の強力な抑制であり、NSAIDsでは不十分である。
✓ 3. 正しい
副腎皮質ステロイド薬を投与する。
COPDの急性増悪(感冒後の呼吸困難悪化・酸素飽和度低下)に対して、副腎皮質ステロイド薬の全身投与が最も有効な対応である。 気管支拡張薬に加えて全身性ステロイドの短期投与が推奨され、気道の炎症を速やかに抑制する。 COPDの急性増悪は感染症(かぜ症候群、肺炎など)を契機に発症することが多い。 酸素療法も併用するが、高濃度酸素投与はCO2ナルコーシスのリスクがあるため注意が必要。
✗ 4. 誤り
気管挿管を行う。
気管挿管は重症呼吸不全で非侵襲的陽圧換気(NPPV)が無効な場合の最終手段である。 まずは薬物療法(ステロイド、気管支拡張薬)と酸素療法を行い、段階的に対応する。 気管挿管・人工呼吸管理は侵襲が大きく、まず非侵襲的な治療を試みるのが原則である。
ポイント
  • COPDの急性増悪時には副腎皮質ステロイド薬の全身投与が最も有効な治療である。感冒を契機とした増悪は頻度が高く、早期介入が重要。
  • COPD患者への高濃度酸素投与はCO2ナルコーシスのリスクがあるため、低流量での慎重な酸素投与が求められる。
  • 急性増悪の治療は段階的に行い、薬物療法 → 酸素療法 → NPPV → 気管挿管の順に侵襲度を上げていく。
  • 重要用語: COPD急性増悪, 副腎皮質ステロイド, CO2ナルコーシス, 酸素療法 を正確に理解しておくこと。
比較表
COPD急性増悪の対応 内容 注意点
副腎皮質ステロイド薬 全身投与(経口/静注) 5~14日間の短期投与
気管支拡張薬 SABA吸入の頻回投与 基本治療として併用
酸素療法 低流量酸素投与 CO2ナルコーシスに注意
抗菌薬 細菌感染合併時 痰の膿性変化時に考慮
NPPV 呼吸不全増悪時 気管挿管の前段階
解説画像
あマ指 第33回(2025) 問題80|次の症例について、「80歳の男性。毎日40本の喫煙を60年続けている。咳、痰、労作時の息切れを訴えている。胸部エックス線検査では胸水や腫瘤陰影は認めない。」感冒に罹患後、熱はないが呼吸困難が悪化した。また、経皮酸素飽和度の低下を認めた。最も有効な対応はどれか。 解説図
あマ指 第33回(2025) 問題80|次の症例について、「80歳の男性。毎日40本の喫煙を60年続けている。咳、痰、労作時の息切れを訴えている。胸部エックス線検査では胸水や腫瘤陰影は認めない。」感冒に罹患後、熱はないが呼吸困難が悪化した。また、経皮酸素飽和度の低下を認めた。最も有効な対応はどれか。
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