学習トップ理由で解く 臨床医学各論第3章 ▸ A. 肝臓疾患 / Q0211

理由で解く 臨床医学各論

Q0211 肝・胆・膵疾患

出典:あマ指 第28回(2020) 問題78
問題
肝性脳症でみられるのはどれか。
選択肢
1 静止時振戦
2 企図振戦
3 動作時振戦
4 羽ばたき振戦
解答
正解4(羽ばたき振戦)
解説
✗ 1. 誤り
静止時振戦
静止時振戦はパーキンソン病の特徴的な振戦であり、安静時に手指の丸薬丸め運動(pill rolling tremor)がみられる。 中脳黒質のドパミン神経変性が原因であり、肝性脳症の所見ではない。 随意運動を開始すると振戦が軽減・消失する点が他の振戦との鑑別ポイントである。
✗ 2. 誤り
企図振戦
企図振戦は小脳障害でみられる振戦であり、目標に手を近づけるほど振戦が増大する。 小脳梗塞や多発性硬化症などで出現し、肝性脳症では認められない。 指鼻試験で目標到達直前に振戦が増悪することで検出される。
✗ 3. 誤り
動作時振戦
動作時振戦は動作中に出現する振戦で、本態性振戦が代表的である。 最も頻度の高い不随意運動の一つであるが、肝性脳症の特徴ではない。 家族歴を有することが多く、飲酒で一時的に軽減するのが特徴である。
✓ 4. 正しい
羽ばたき振戦
肝性脳症では羽ばたき振戦(アステリクシス、フラッピング振戦)が特徴的にみられる。 両上肢を前方に伸展し手関節を背屈させると、手首が不規則にパタパタと落下する運動が出現する。 肝硬変の非代償期に血中アンモニア値が上昇し、脳に毒性物質が蓄積することで生じる。 肝性脳症の初期〜中等度(昏睡度II〜III)に出現し、重度(昏睡度IV〜V)では昏睡に至り振戦は消失する。
ポイント
  • 肝性脳症の代表的所見は羽ばたき振戦(アステリクシス)であり、昼夜逆転・失見当識とともに肝性脳症の重要な徴候である。
  • 治療にはラクチュロース投与(腸内アンモニア産生抑制)や低たんぱく食、分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤の投与が行われる。
  • 振戦の種類と関連疾患の対応は頻出テーマである。静止時振戦=パーキンソン病、企図振戦=小脳障害、羽ばたき振戦=肝性脳症と正確に区別すること。
  • 重要用語: 羽ばたき振戦, アステリクシス, 高アンモニア血症, ラクチュロース を正確に理解しておくこと。
比較表
振戦の種類 特徴 関連疾患
静止時振戦 安静時に出現、丸薬丸め運動 パーキンソン病
企図振戦 目標接近で増大 小脳障害
動作時振戦 動作中に出現 本態性振戦
羽ばたき振戦 手関節背屈で不規則落下 肝性脳症
解説画像
あマ指 第28回(2020) 問題78|肝性脳症でみられるのはどれか。 解説図
あマ指 第28回(2020) 問題78|肝性脳症でみられるのはどれか。
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