学習トップ / 理由で解く 理学療法士 / 第12章 ▸ 実地 / QP60A003
理由で解く 理学療法士

気胸(特にドレナージ未施行の活動性)合併例では、患側胸郭を拡張させる手技や吸気負荷を高める介入は空気漏れを助長するため慎重を要する。長期人工呼吸後は呼吸筋力低下(横隔膜機能不全)をきたしやすく吸気筋トレーニングが有効な場面もあるが、それは気胸が安定していることが前提。f/TV(RSBI)は≧105でウィーニング困難・≧150は強い浅速呼吸を示す運動中止/負荷軽減の指標であり増強運動の適応ではない。修正Borgは3〜5が運動強度目安で9以上は過負荷、状態安定なら床上安静固定も不適。なお本問は採点除外問題。
本問は80歳男性の連続症例(誤嚥性肺炎→人工呼吸器管理→気管切開孔閉鎖→その後に右気胸を生じ経鼻酸素療法中)に対し、この時期に最も適切な理学療法を問う臨床判断問題である。提示画像は正面(PA/AP)胸部単純X線写真で、左上に『右』・右上に『左』の向き表示があり、心電図モニタ用の金属クリップ電極とリード線が体表に重なる。両肺野に間質性陰影の増強がみられるが、設問前提の『右肺気胸』を示す明瞭な臓側胸膜線・無血管透亮帯は本解像度では確信をもって同定しづらい。もっとも本問はテキスト肢による臨床判断問題であり、正答は画像から一意に導くものではなく病態理解から判断する。\n\n各肢:肢1は長期臥床が廃用・呼吸機能低下を招くため一律の床上安静は不適。肢2は患側胸郭を強制拡張すると空気漏れを助長し気胸を増悪させるため禁忌的で明確な誤り。肢3は修正Borg 9以上(非常にきつい)は不安定な呼吸状態に過負荷で不適(目安は3〜5)。肢5のf/TVはRSBI(浅速呼吸指数)で、≧105でウィーニング困難、150は浅速呼吸が強い状態を意味し、負荷増強ではなく中止・軽減の指標であるため誤り。肢4は長期人工呼吸後の呼吸筋力低下に対する吸気筋トレーニングで、気胸が安定していれば呼吸効率改善に有効となりうるため選択肢中では最も適切とされ、解説サイトでも想定正答は4とされる。\n\nただし重要な注意点として、本問(第60回PT午前問3)は厚生労働省により採点除外等の取扱いとなった問題である(PTでは午前3・17・20、午後31・46が採点除外)。理由は設問設定が不明確で単一の正解を確定できないためとされる。実際、ドレナージ未施行の活動性気胸下では吸気筋トレーニング(肢4)も吸気時の胸腔内陰圧・経肺圧を高めて空気漏れを助長しうるため相対的禁忌となり得え、『気胸が安定していれば正しいが、活動性なら不適』という前提依存の曖昧さが残る。このため公式正答は空([])で提供されており、本解説では『肢1・2・3・5は明確な誤り、肢4が条件付きの想定正答だが、活動性気胸という設定では肢4も確実とは言えず、公式には採点除外=単一正答なし』と整理する。
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