学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP59A011

理由で解く 理学療法士

QP59A011 理学療法治療学

出典:第59回理学療法士国家試験(2024)午前 問11
問題
50歳の男性。左下腿切断。義足歩行練習中に左側の踵接地から立脚中期までに急激な膝屈曲が生じた。考えられる原因はどれか。2つ選べ。
選択肢
1 足部が底屈しすぎている。
2 足部後方バンパーが硬すぎる。
3 ソケット初期屈曲角が大きすぎる。
4 ソケットが足部に対して後方すぎる。
5 ソケット初期内転角が不足している。
解答
正解2(足部後方バンパーが硬すぎる。)、3(ソケット初期屈曲角が大きすぎる。)
解説

踵接地〜立脚中期の急激な膝屈曲(膝折れ傾向)は、床反力作用線が膝軸より後方を通り膝屈曲モーメントが増大したときに起こる。硬い後方バンパーとソケット過屈曲がその原因。

下腿義足では、踵接地時に後方バンパー(ヒールクッション)が適度に圧縮して足部を滑らかに底屈させ、足底接地へ移行させる。バンパーが硬すぎると踵接地で足部が底屈できず、床反力作用線が膝関節軸の後方を通過し続けるため膝屈曲モーメントが急増し、立脚初期に膝が急に折れるように屈曲する。ソケット初期屈曲角が大きすぎる場合も、断端(下腿)が前傾して膝が床反力線より前方へ出るため同様に膝屈曲モーメントが増し、立脚前半で膝屈曲が過大となる。逆に膝を安定させたい(伸展方向へ)場合はソケットを後方に、足部を前方に配置する。

✗ 1. 誤り
足部が底屈しすぎている。
足部底屈(前足部が低い=トウダウン)は踵接地後に床反力線を膝前方へ導き膝伸展モーメントを生む。むしろ膝が伸展・過伸展方向に安定し、急激な膝屈曲の原因にはならない
✓ 2. 正しい
足部後方バンパーが硬すぎる。
踵接地で足部が底屈できず床反力が膝後方を通り、膝屈曲モーメントが増大して膝折れ様の急激な屈曲を生じる
✓ 3. 正しい
ソケット初期屈曲角が大きすぎる。
断端が前傾し膝が床反力線の前方へ出て膝屈曲モーメントが増大、立脚前半で膝屈曲が過大となる
✗ 4. 誤り
ソケットが足部に対して後方すぎる。
ソケットが足部に対して後方すぎる(=足部が相対的に前方):床反力線が膝前方を通り膝伸展モーメントを生むため、膝は安定方向で急激な屈曲は起きない
✗ 5. 誤り
ソケット初期内転角が不足している。
内外転角は前額面(左右の安定・外側スラスト)のアライメントに関わり、矢状面の膝屈曲異常の直接原因ではない
ポイント
  • 立脚初期の急激な膝屈曲=膝屈曲モーメント過大(膝折れ傾向)
  • 硬い後方バンパー→踵接地で底屈できず床反力が膝後方へ
  • ソケット過屈曲→断端前傾で膝が床反力線前方へ
  • 膝を安定させるにはソケット後方・足部前方・軟らかい踵
比較表
下腿義足・立脚期の膝挙動とアライメント
現象床反力と膝の関係主な原因
立脚初期の膝屈曲過大床反力線が膝後方→屈曲モーメント後方バンパーが硬い/ソケット過屈曲/足部後方
立脚期の膝伸展・不安定(膝が伸びきる)床反力線が膝前方→伸展モーメント後方バンパーが軟らかい/ソケット過伸展/足部前方/足部底屈
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