学習トップ理由で解く 理学療法士第11章 ▸ 実地 / QP58P015

理由で解く 理学療法士

QP58P015 理学療法評価学

出典:第58回理学療法士国家試験(2023)午後 問15
問題
58歳の男性。脳卒中による左片麻痺。Brunnstrom法ステージ上肢IV、手指III、下肢IV。麻痺側の位置覚検査を行う際の患者への指示で適切なのはどれか。
選択肢
1 「掌を上に向けて、両腕を水平に保ってください」
2 「左腕を動かしますので、右腕でまねをしてください」
3 「左足の親指を動かします。何回動いたか答えてください」
4 「右膝を曲げますので、左脚を同じように曲げてください」
5 「左手の親指が手の甲の方へ動いたら“上”、掌の方へ動いたら“下”と答えてください」
解答
正解2(「左腕を動かしますので、右腕でまねをしてください」)
解説

位置覚は検者が他動的にとらせた麻痺側の肢位を、健側で模倣(再現)させて評価する。

位置覚(関節位置覚)は、四肢・関節が空間内でどの位置にあるかを認識する深部感覚である。検査では閉眼下に検者が麻痺側の関節を他動的にある肢位へ動かし、患者にその肢位を答えさせるか、健側で同じ肢位を再現(模倣)させて評価する。本例は左片麻痺のため、検者が左腕を他動的に動かして肢位をとらせ、非麻痺側の右腕でその位置をまねさせる選択肢2が適切。選択肢5や3は関節が「どちらへ・何回動いたか」という運動の方向・回数を問うており、これは位置覚ではなく運動覚(kinesthesia、運動感覚)の検査である。選択肢1は肢位を保持させるだけで感覚の再現・報告を求めておらず検査になっていない。選択肢4は検者が非麻痺側(右)を動かして麻痺側(左)で模倣させており、麻痺側の位置覚評価という目的と動かす側・模倣する側が逆で不適切。深部感覚障害は運動学習・バランスに直結するため、模倣法で左右差を確認する意義が大きい。

✗ 1. 誤り
「掌を上に向けて、両腕を水平に保ってください」
肢位保持を指示するのみで感覚の報告を求めておらず検査にならない
✓ 2. 正しい
「左腕を動かしますので、右腕でまねをしてください」
麻痺側(左)を他動的に動かし健側(右)で模倣=位置覚検査として適切
✗ 3. 誤り
「左足の親指を動かします。何回動いたか答えてください」
動いた回数を問うのは位置覚でなく運動覚(回数弁別)に近く不適
✗ 4. 誤り
「右膝を曲げますので、左脚を同じように曲げてください」
非麻痺側を動かし麻痺側で模倣させており、動かす側と模倣側が逆
✗ 5. 誤り
「左手の親指が手の甲の方へ動いたら“上”、掌の方へ動いたら“下”と答えてください」
動いた方向(上/下)を問うのは位置覚でなく運動覚の検査
ポイント
  • 位置覚=他動的にとらせた肢位を健側で模倣させる
  • 運動覚=関節を動かす方向・回数を答えさせる
  • 麻痺側を動かし非麻痺側で再現するのが基本
  • 閉眼下で実施し左右差を確認
比較表
深部感覚検査の種類
感覚検査方法
位置覚(関節位置覚)他動的肢位を健側で模倣/口頭で位置を答える
運動覚(運動感覚)関節を動かした方向・大小・回数を答える
振動覚音叉を骨突起に当て振動の有無・持続を答える
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