学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP58P012

理由で解く 理学療法士

QP58P012 理学療法治療学

出典:第58回理学療法士国家試験(2023)午後 問12
問題
標準的な体格の成人における松葉杖の調整で正しいのはどれか。
図
選択肢
1 1横指 ― 10度
2 1横指 ― 45度
3 3横指 ― 30度
4 3横指 ― 45度
5 5横指 ― 30度
解答
正解3(3)
解説

松葉杖は腋窩と横木(脇当て)の間を指2〜3本=約3横指あけ、握りを持ったときの肘は約30度屈曲に合わせる。

図のaは腋窩から横木までの距離、bは握りを握ったときの肘関節屈曲角度を示している。松葉杖の脇当ては腋窩に体重を預けるためのものではなく、側胸部で挟んで杖を安定させるためのものである。腋窩を直接押し当てると腋窩部の神経・血管が圧迫され、橈骨神経障害による松葉杖麻痺を生じるため、標準的な体格の成人では指2〜3本分、すなわち約3横指あけるのがaの基準となる。bの肘屈曲角度は約30度(20〜30度)が標準で、この余裕があるから肘の伸展で体を持ち上げ、段差や杖の振り出しにも対応できる。肘が10度程度まで伸びていると衝撃を肘で逃がせず腋窩に体重がかかりやすい。逆に45度まで深く曲がるのは杖が短すぎるためで、体幹が前かがみになり支持が不安定になる。同じ理由で、腋窩との間隔が5横指も空くのは杖が短い状態であり適切でない。したがってa=3横指、b=30度の組合せである3が正しい。

✗ 1. 誤り
1横指 ― 10度
1横指では腋窩を圧迫し松葉杖麻痺の危険。肘10度も伸びすぎで余裕がない
✗ 2. 誤り
1横指 ― 45度
1横指は腋窩圧迫の危険があり、肘45度も屈曲が深く杖が短すぎる
✓ 3. 正しい
3横指 ― 30度
腋窩と横木の間を指2〜3本あけ、肘を約30度屈曲させる標準的な調整
✗ 4. 誤り
3横指 ― 45度
3横指は適切だが、肘45度は屈曲が深く杖が短くて支持が不安定になる
✗ 5. 誤り
5横指 ― 30度
肘30度は適切だが、5横指は開きすぎで杖が短く、脇当てが働かない
ポイント
  • 脇当てと腋窩の間隔=2〜3横指(約5cm)
  • 肘関節屈曲角度=約20〜30度
  • 腋窩を圧迫すると松葉杖麻痺(橈骨神経障害)を生じる
  • 杖先は足先の前外側約15cm
比較表
松葉杖適合の基準
調整項目基準値
脇当てと腋窩の間隔2〜3横指(約5cm)
肘関節屈曲角度約20〜30度
杖先の位置足先の前外側約15cm
体重支持部位グリップ(腋窩ではない)
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