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理由で解く 理学療法士

QP58P011 理学療法治療学

出典:第58回理学療法士国家試験(2023)午後 問11
問題
80歳の男性。脳梗塞による右片麻痺。Brunnstrom法ステージは上肢Ⅱ、下肢Ⅲ。下肢の随意運動は分離運動がわずかに認められる程度である。歩行はT字杖と短下肢装具を使用して自宅内移動が可能である。ADL指導で最も適切なのはどれか。
図
選択肢
1 ベッド上で起き上がる
2 低い段を昇る
3 低い段を降りる
4 ズボンを履く
5 浴槽に入る
解答
正解1(1)
解説

上肢Brunnstromステージ Ⅱ では麻痺側上肢を支持に使えないため、起き上がりは非麻痺側で押して行う。段差・更衣・入浴は先行肢の原則で判定する。

右片麻痺で上肢Ⅱ・下肢Ⅲ、T字杖と短下肢装具で自宅内歩行が可能な症例である。上肢Ⅱでは麻痺側上肢にほとんど随意性がなく体重支持に使えないので、起き上がりは非麻痺側(左)の前腕と手でベッドを押して行うのが安全かつ確実である。1の図は麻痺側を上にした側臥位から両下肢をベッド端に下ろし、非麻痺側の上肢で押し起きる方法で、この原則にかなう。段差の昇降は「昇りは健側から、降りは患側から」が原則で、昇るときは健側を先に上げて麻痺側は伸展位で支え、降りるときは麻痺側を先に下ろして健側で体を制御する。2の図は装具をつけた麻痺側を先に段へ上げ、3の図は健側を先に下ろしており、いずれも逆である。更衣は「着患脱健」で、ズボンも麻痺側の脚から先に通すが、4の図は健側から通している。入浴では麻痺側の感覚が鈍く熱傷の危険があるため、健側から湯に入れて湯温を確かめるが、5の図は麻痺側を先に浴槽へ入れている。以上より、ADL指導として最も適切なのは1である。

✓ 1. 正しい
ベッド上で起き上がる
麻痺側を上にした側臥位から非麻痺側の上肢でベッドを押しており、適切な起き上がり
✗ 2. 誤り
低い段を昇る
装具をつけた麻痺側から段へ上げている。昇段は健側の脚を先に上げるのが原則
✗ 3. 誤り
低い段を降りる
健側から先に下ろしている。降段は麻痺側を先に下ろし健側で支えるのが原則
✗ 4. 誤り
ズボンを履く
健側の脚から通している。更衣は着患脱健で麻痺側の脚から先に通す
✗ 5. 誤り
浴槽に入る
麻痺側から湯へ入れている。感覚障害があるため健側から入れ湯温を確認する
ポイント
  • 上肢Brunnstrom IIは実用手にならず健側主導でADLを組む
  • 更衣は脱健着患(患側から着て健側から脱ぐ)
  • T字杖+短下肢装具の移動能力を活かし安全性を優先
比較表
Brunnstrom法ステージと上肢機能の目安
ステージ上肢の状態ADL上の位置づけ
I弛緩性麻痺廃用手
II連合反応・共同運動出現初期廃用手〜補助手困難
III共同運動が随意的に可能補助手
IV〜V分離運動出現補助手〜実用手
VIほぼ正常実用手
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