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理由で解く 理学療法士

QP58P007 理学療法治療学

出典:第58回理学療法士国家試験(2023)午後 問7
問題
75歳の男性。一人暮らし。歩行時のふらつきを主訴に来院した。以前から食事が不規則で、5日前から食事を摂らなくなった。上肢に明らかな異常はないが、下肢筋力は MMT4レベルで、下肢遠位優位のしびれ感がある。膝蓋腱反射は亢進しているが、アキレス腱反射は低下し、Babinski 反射は陽性だった。眼振は認めない。血清ビタミン B12の低下を認めた。重心動揺検査結果を図に示す。
この患者の左右へのバランス障害に対する踵の補正で適切なのはどれか。
図
選択肢
1 SACHヒール
2 Thomasヒール
3 外側フレアヒール
4 逆Thomasヒール
5 内側ウェッジヒール
解答
正解3(外側フレアヒール)
解説

フレアヒールは踵を左右方向に張り出して支持基底面を広げ、内外側の安定性を高める補正。外側フレア=外側へ広げて内反(回外)や左右動揺を制動、内側フレア=内側へ広げて外反(回内)を制動、と方向で使い分ける。ヒール延長系は「延長方向=支持側」で覚える:Thomasヒール(内側延長)=扁平足・外反、逆Thomasヒール(外側延長)=内反尖足・回外足。ウェッジは高い側と反対へ荷重を移す(内側ウェッジ=外反矯正)。

図は開眼・閉眼の重心動揺図。開眼では原点付近にコンパクトだが、閉眼で軌跡が明らかに拡大し、特に左右(内外側)方向へ大きく広がる(左約-6、右約+4cm)。前後より左右への振れ幅が大きい、閉眼で悪化する(視覚代償依存=ロンベルグ的)左右バランス障害のパターンである。左右方向のふらつきに対しては、踵の接地面(支持基底面)を外側へ張り出して広げ、安定した踵接地を得られる外側フレアヒールが適切で、公式正答[3]と一致する。他の補正はいずれも特定の足部変形の矯正や衝撃吸収が主目的で、左右方向の安定化を狙うものではない。すなわちSACHヒール(1)は踵接地の衝撃吸収、Thomasヒール(2)は内側延長で扁平足・外反、逆Thomasヒール(4)は外側延長で内反尖足(回外足)、内側ウェッジ(5)は外反足・外反膝の矯正に用いる。

✗ 1. 誤り
SACHヒール
踵部に軟らかいクッション材を入れ、踵接地時の衝撃を吸収する補正。距骨・踵骨部の衝撃緩和が目的で、左右バランスの補正ではない
✗ 2. 誤り
Thomasヒール
ヒールの内側を前方へ延長し内側縦アーチを支持する補正。扁平足・外反扁平足(回内・外反)に用いる。左右バランス障害の第一選択ではない
✓ 3. 正しい
外側フレアヒール
踵の外側を外方へ張り出して支持基底面を外側へ拡大し、安定した踵接地を得る補正。閉眼で増大する左右(内外側)方向の動揺の制動に有効
✗ 4. 誤り
逆Thomasヒール
ヒールの外側を前方へ延長する補正で、内反尖足・凹足(回外足)に対し外側(踵立方関節・外側縦アーチ)を支持する目的で用いる。回内・外反用ではなく、左右バランス補正の第一選択でもない
✗ 5. 誤り
内側ウェッジヒール
踵内側を高く外側を低くするくさび補正で、外反足・外反膝(X脚)に用いる。左右バランス障害への踵補正ではない
ポイント
  • フレアヒール=踵を側方へ張り出し支持基底面拡大
  • 左右動揺には外側フレアヒール
  • ウェッジは角度補正、SACHは衝撃吸収
比較表
踵補正の目的
補正主目的
外側フレアヒール支持基底面を外側へ拡大し内外側安定性向上
SACHヒール踵接地の衝撃吸収(前後)
Thomas/逆Thomasヒール踵前方延長で距骨下関節を制動
内側ウェッジ回内・外反の角度矯正
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