学習トップ理由で解く 理学療法士第11章 ▸ 実地 / QP58P006

理由で解く 理学療法士

QP58P006 理学療法評価学

出典:第58回理学療法士国家試験(2023)午後 問6
問題
75歳の男性。一人暮らし。歩行時のふらつきを主訴に来院した。以前から食事が不規則で、5日前から食事を摂らなくなった。上肢に明らかな異常はないが、下肢筋力は MMT4レベルで、下肢遠位優位のしびれ感がある。膝蓋腱反射は亢進しているが、アキレス腱反射は低下し、Babinski 反射は陽性だった。眼振は認めない。血清ビタミン B12の低下を認めた。重心動揺検査結果を図に示す。
可能性が高い疾患はどれか。
図
選択肢
1 皮膚筋炎
2 Shy-Drager症候群
3 筋萎縮性側索硬化症
4 ポストポリオ症候群
5 亜急性連合性脊髄変性症
解答
正解5(亜急性連合性脊髄変性症)
解説

開眼で小さく閉眼で著明に拡大する重心動揺(Romberg徴候陽性)は後索=深部感覚障害を示し、亜急性連合性脊髄変性症を示唆する。

図は重心動揺図で、左が開眼、右が閉眼を示す。開眼では重心の動揺軌跡が中心付近(おおむね±2cm以内)に密に集中し動揺は小さいが、閉眼では左右−6〜+4cm程度まで動揺範囲が著明に拡大している。開眼で安定・閉眼で著明に悪化するこのパターンはRomberg徴候陽性に相当し、姿勢保持を視覚入力に強く依存している=深部感覚(後索・固有感覚)障害の存在を示す。選択肢のうち後索(深部感覚路)を障害するのは亜急性連合性脊髄変性症(ビタミンB12欠乏)であり、閉眼で動揺が増大する本図の所見と一致する。皮膚筋炎・ALS・ポストポリオ症候群は筋・運動ニューロン障害で感覚系は保たれRomberg陰性、Shy-Drager症候群は小脳・自律神経障害主体で後索型のパターンとは異なる。したがって可能性が最も高い疾患は亜急性連合性脊髄変性症である。

✗ 1. 誤り
皮膚筋炎
近位筋優位の炎症性筋疾患で深部感覚は障害されず、閉眼で動揺が著明増大する図のパターン(Romberg陽性)を説明できない
✗ 2. 誤り
Shy-Drager症候群
自律神経・小脳/錐体外路症状主体で、開眼時から不安定になりやすく、開眼で小さく閉眼で著明増大する後索型パターンとは一致しにくい
✗ 3. 誤り
筋萎縮性側索硬化症
運動ニューロン障害で感覚系は保たれ、Romberg徴候は陰性が典型で図の所見と合わない
✗ 4. 誤り
ポストポリオ症候群
下位運動ニューロン由来の筋力低下が主体で深部感覚障害はなく、閉眼での動揺増大は説明できない
✓ 5. 正しい
亜急性連合性脊髄変性症
ビタミンB12欠乏による後索(深部感覚路)障害で視覚代償に依存し、閉眼で重心動揺が著明に増大する図の所見(Romberg徴候陽性)と合致する
ポイント
  • B12欠乏=後索+側索の連合性変性
  • 深部感覚性失調でRomberg陽性(閉眼で悪化)
  • 腱反射亢進+末梢神経障害の混在
比較表
運動失調の型と鑑別
Romberg代表病態
後索性(深部感覚性)陽性(閉眼で悪化)亜急性連合性脊髄変性症
小脳性陰性(開閉眼で不変)多系統萎縮症等
前庭性偏倚傾向前庭障害(眼振あり)
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