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理由で解く 理学療法士

QP57P008 理学療法評価学

出典:第57回理学療法士国家試験(2022)午後 問8
問題
47歳の女性。多発性硬化症。30歳で発症し、寛解と増悪を繰り返した後、完全寛解していた。1週前に視力低下と小脳症状が出現し、入院となった。視神経と右小脳半球に脱髄を認める。過回内テストで図のような動きが観察された。この患者にみられる所見はどれか。
図
選択肢
1 振戦
2 運動分解
3 測定異常
4 協働収縮異常
5 反復拮抗運動不能
解答
正解3(測定異常)
解説

過回内テストで患側が過剰に回内するのは運動の距離・程度を調整できない測定異常(dysmetria)。右小脳半球病変による同側の協調運動障害。

多発性硬化症の右小脳半球脱髄により同側(右)上肢に小脳性運動失調が出現している。過回内テスト(両上肢を前方挙上して急速に回内させる検査)では、健側は適度な回内で止まるのに対し、小脳障害側は運動の終点を調整できず過度に回内(hyperpronation)する。これは目標に対して運動の量・距離を適切に制御できない測定異常(dysmetria)の現れであり、正答は3。指鼻試験での行き過ぎ(測定過大)と同じ機序である。

✗ 1. 誤り
振戦
運動時に生じる律動的な振れで、企図振戦は小脳症状だが本テストの『過剰な回内』が示す所見ではない
✗ 2. 誤り
運動分解
一連の運動が円滑につながらず分節的になる現象で、過回内という終点の誤りとは異なる
✓ 3. 正しい
測定異常
運動の距離・程度を調整できず過度に回内する所見に合致
✗ 4. 誤り
協働収縮異常
主動筋と拮抗筋・協働筋の協調不全を指すが、過回内テストの典型的判定項目ではない
✗ 5. 誤り
反復拮抗運動不能
回内回外の急速な反復が拙劣になる所見で、本テストが評価する『過剰回内=測定異常』とは別
ポイント
  • 小脳半球病変=同側の協調運動障害
  • 過回内テストの過剰回内=測定異常(dysmetria)
  • 測定異常は運動の量・距離の調整障害
比較表
主な小脳性協調運動障害
徴候内容
測定異常運動の距離・量の調整不良
運動分解運動が分節化し円滑さを欠く
反復拮抗運動不能急速な反復運動の拙劣
企図振戦目標接近時に増強する振戦
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