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理由で解く 理学療法士

QP57A015 理学療法治療学

出典:第57回理学療法士国家試験(2022)午前 問15
問題
脊髄損傷患者のトランスファーボードを用いたベッドから車椅子への移乗動作を図に示す。この動作を獲得目標とする機能残存レベルはどれか。
図
選択肢
1 C4
2 C5
3 C6
4 C7
5 C8
解答
正解3(C6)
解説

上腕三頭筋を欠き手関節背屈が可能なC6は、体幹前傾と肘伸展ロックを用いたトランスファーボード移乗の自立が獲得目標となる機能残存レベルである。

図は脊髄損傷患者が体幹を大きく前傾させ、頭部を車椅子の大車輪(ハンドリム付き)付近まで下げ、伸展位でロックした上肢を車椅子側に突っ張って殿部を滑らせる、トランスファーボードを用いた前傾型の移乗を示している。上腕三頭筋を欠くC6レベルでは肘の能動伸展(プッシュアップ)ができないため、肩の外旋・前部三角筋・上腕二頭筋を使って肘を伸展位で固定し、頭部を下げて殿部を持ち上げる「head-hips relationship」を利用する。さらに手関節背屈によるテノデーシス把持が可能となるため、トランスファーボードを用いた移乗の自立が現実的な獲得目標となる。C7以上は上腕三頭筋機能によりボードなしのプッシュアップ移乗が可能、C5以下は上肢での体重支持が不十分でボード移乗の自立は困難。したがって、この動作を獲得目標とする機能残存レベルはC6である。

✗ 1. 誤り
C4
横隔膜と頸部の筋のみが機能し上肢の随意運動はできない。電動車椅子・移乗全介助レベルで、上肢で体重を支える図のボード移乗は獲得目標にならない
✗ 2. 誤り
C5
三角筋・上腕二頭筋により肩の運動と肘屈曲は可能だが、手関節背屈と上腕三頭筋がなく上肢での体重支持が不十分で、ボード移乗の自立は困難
✓ 3. 正しい
C6
長・短橈側手根伸筋による手関節背屈(テノデーシス)が可能となる一方で上腕三頭筋を欠くため、図のように体幹を前傾させ肩の外旋で肘を伸展位にロックし、頭部を下げてトランスファーボード上を滑る移乗を獲得目標とするレベル
✗ 4. 誤り
C7
上腕三頭筋が機能し肘の能動伸展=プッシュアップが可能となるため、ボードを用いずに移乗できる。ボード移乗はより低位の目標
✗ 5. 誤り
C8
手内在筋を除き上肢機能がほぼ完成し、プッシュアップ移乗が安定して可能でボードは不要
ポイント
  • C6=手関節背屈(テノデーシス)、ボード使用の側方移乗が目標
  • C7=上腕三頭筋でプッシュアップ、ボードなし移乗可
  • 残存筋から可能なADLを推定する
比較表
頸髄損傷の残存レベルと主な機能
レベルキーマッスル移乗の目安
C4横隔膜全介助・電動車椅子
C5上腕二頭筋・三角筋介助移乗
C6橈側手根伸筋(手関節背屈)トランスファーボード使用移乗
C7上腕三頭筋プッシュアップでボードなし移乗
C8手指屈筋移乗自立・巧緻動作向上
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