学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP57A016

理由で解く 理学療法士

QP57A016 理学療法治療学

出典:第57回理学療法士国家試験(2022)午前 問16
問題
12歳の男児。脳性麻痺痙直型両麻痺。GMFCSレベルⅢで、立位では図のような姿勢を示す。治療方針として優先されるのはどれか。
図
選択肢
1 長下肢装具を作製する。
2 体幹筋の同時収縮を促す。
3 選択的後根切断術を検討する。
4 歩行練習での介助量を減らす。
5 上肢での支持能力を向上させる。
解答
正解2(体幹筋の同時収縮を促す。)
解説

GMFCSレベルIIIの痙直型両麻痺は歩行補助具を用いて歩ける水準。crouch(しゃがみ込み)姿勢に対し、まず抗重力での姿勢保持の基盤となる体幹の同時収縮(co-contraction)による安定を優先する。

痙直型両麻痺では下肢の痙性優位で骨盤後傾・股膝屈曲位のcrouch姿勢をとりやすく、抗重力位での体幹・骨盤の安定性が乏しい。GMFCSレベルIIIは手すりや歩行器など補助具を使えば歩行が可能な段階であり、姿勢制御の土台となる体幹筋の同時収縮を促して座位・立位のアライメントと安定性を高めることが優先される。長下肢装具は両麻痺の歩行には過剰で不適、選択的後根切断術は保存的アプローチを尽くす前の第一選択ではない。上肢支持能力の向上や介助量減少はこの段階の最優先課題とはいえない。

✗ 1. 誤り
長下肢装具を作製する。
痙直型両麻痺の歩行には通常AFO程度で足り、KAFOは過剰で機能を妨げる
✓ 2. 正しい
体幹筋の同時収縮を促す。
抗重力姿勢の安定基盤をつくり、crouch姿勢や動作全体の改善につながる最優先課題
✗ 3. 誤り
選択的後根切断術を検討する。
侵襲的な外科的治療で、保存的リハを尽くす前の優先事項ではない
✗ 4. 誤り
歩行練習での介助量を減らす。
姿勢安定が確立しないうちの介助量減少は転倒・代償を助長し優先度が低い
✗ 5. 誤り
上肢での支持能力を向上させる。
補助具歩行を支えるが、根本の体幹安定より優先度は低い
ポイント
  • GMFCS III=補助具使用で歩行可能
  • 痙直型両麻痺はcrouch姿勢をとりやすい
  • 姿勢制御の基盤=体幹筋の同時収縮を優先
  • KAFOやSDRは第一選択でない
比較表
GMFCSレベルと移動能力の目安
レベル移動能力
I制限なく歩行、高度な運動に制限
II手すりなど使うが屋外・地域で歩行に制限
III手持ち歩行補助具を使って歩行
IV電動・介助中心、自力移動は制限
V手動車椅子で移送、自力移動困難
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