学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP57A018

理由で解く 理学療法士

QP57A018 理学療法治療学

出典:第57回理学療法士国家試験(2022)午前 問18
問題
65歳の男性。間質性肺炎。労作時呼吸困難、咳を主訴に来院した。3年前から歩行時の呼吸困難が増悪した。1か月前から咳、労作時の呼吸困難の悪化を認め入院となった。入院時、心電図は洞調律。血液検査ではCRP 3.1mg/dL(基準値:0.3mg/dL未満)、KL-6 790U/mL(基準値500U/mL未満)であった。理学療法評価では、mMRC息切れスケールはグレード3。筋力はMMT上下肢4、6分間歩行テストは200mであった。
全身持久力トレーニングを行う場合、トレーニングを中止すべき状態はどれか。2つ選べ。(トレーニング前の所見は、血圧120/65mmHg、心拍数85/分、呼吸数19回/分、SpO2 96%、修正Borg Scale 3。表に各状態のバイタルサインと自覚症状を示す。)
選択肢
1 血圧85/60mmHg、心拍数100/分、呼吸数23回/分、SpO2 93%、修正Borg Scale 5、自覚症状:めまい
2 血圧128/60mmHg、心拍数94/分、呼吸数29回/分、SpO2 92%、修正Borg Scale 6、自覚症状:筋疲労
3 血圧135/75mmHg、心拍数92/分、呼吸数25回/分、SpO2 96%、修正Borg Scale 6、自覚症状:なし
4 血圧140/75mmHg、心拍数110/分、呼吸数26回/分、SpO2 92%、修正Borg Scale 5、自覚症状:動悸
5 血圧168/74mmHg、心拍数101/分、呼吸数23回/分、SpO2 91%、修正Borg Scale 4、自覚症状:筋疲労
解答
正解1(1)、4(4)
解説

運動中止の判断は数値の軽微な変動ではなく、血圧低下に伴うめまいや動悸といった破綻のサインで行う。

トレーニング前の所見は血圧120/65mmHg、心拍数85/分、呼吸数19回/分、SpO₂96%、修正Borg Scale 3であり、この基準値と比べて各状態を評価する。1は収縮期血圧が120から85mmHgへ大きく低下し、めまいを訴えている。運動中の血圧低下は心拍出量が需要に追いつかない徴候で、脳血流低下によるめまいを伴えば直ちに中止すべき状態である。4は心拍数が85から110/分へ上昇し動悸を訴えており、不整脈や過度の心負荷を示唆するため、これも中止の対象となる。2はSpO₂92%、呼吸数29回/分と負荷はやや強いものの、血圧は128/60mmHgと保たれ自覚症状は筋疲労のみで、強度を下げれば継続できる。3は血圧135/75mmHg、心拍数92/分、SpO₂96%と安定し自覚症状もなく、中止の必要はない。5は収縮期血圧が168mmHgと上昇しSpO₂91%とやや低下しているが、修正Borg Scale 4で症状は筋疲労にとどまり、めまいや動悸は伴わないため、まず負荷量を調整して経過をみる段階である。したがって中止すべき状態は1と4である。

✓ 1. 正しい
血圧85/60mmHg、心拍数100/分、呼吸数23回/分、SpO2 93%、修正Borg Scale 5、自覚症状:めまい
血圧が120/65から85/60へ低下しめまいを伴う。運動誘発性の血圧低下で即中止
✗ 2. 誤り
血圧128/60mmHg、心拍数94/分、呼吸数29回/分、SpO2 92%、修正Borg Scale 6、自覚症状:筋疲労
SpO₂92%・呼吸数29回/分だが血圧は保たれ症状は筋疲労のみ。負荷調整で継続可
✗ 3. 誤り
血圧135/75mmHg、心拍数92/分、呼吸数25回/分、SpO2 96%、修正Borg Scale 6、自覚症状:なし
血圧135/75、心拍92/分、SpO₂96%と安定し自覚症状もなく中止の必要はない
✓ 4. 正しい
血圧140/75mmHg、心拍数110/分、呼吸数26回/分、SpO2 92%、修正Borg Scale 5、自覚症状:動悸
心拍数が85から110/分へ上がり動悸を訴える。不整脈・過度の心負荷を疑い中止
✗ 5. 誤り
血圧168/74mmHg、心拍数101/分、呼吸数23回/分、SpO2 91%、修正Borg Scale 4、自覚症状:筋疲労
収縮期血圧は168mmHgと上昇するが症状は筋疲労のみ。直ちに中止する状態ではない
ポイント
  • 中止基準の決め手は自覚症状(めまい・動悸・胸痛・失神感)
  • 運動中の血圧低下+めまいは循環破綻の徴候→中止
  • 頻脈+動悸は不整脈・過負荷の疑い→中止
  • 筋疲労のみ・無症状は継続可
比較表
運動療法の中止すべき主な症状・所見
項目中止を考慮する所見
自覚症状めまい・失神感・動悸・胸痛・強い息切れ
血圧運動中の収縮期血圧低下、過度の上昇
心拍・脈頻脈・不整脈の出現
SpO2著明な低下
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