学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP57A011

理由で解く 理学療法士

QP57A011 理学療法治療学

出典:第57回理学療法士国家試験(2022)午前 問11
問題
75歳の男性。糖尿病により右下腿切断。義足歩行練習時に右膝の膝折れを起こしそうな不安定感を訴えた。考えられる原因はどれか。2つ選べ。
選択肢
1 初期屈曲角が過大である。
2 初期内転角が不足している。
3 右股関節の屈曲可動域制限がある。
4 右膝関節の伸展筋力が低下している。
5 ソケットが足部に対し後方に位置しすぎている。
解答
正解1(初期屈曲角が過大である。)、4(右膝関節の伸展筋力が低下している。)
解説

下腿義足の立脚期の膝安定性は、膝伸展筋力と矢状面アライメント(床反力線と膝軸の位置関係)で決まる。膝折れ=膝を屈曲させる力が勝る状態。

下腿義足では自分の膝関節が残っているため、立脚期に膝が屈曲方向へ崩れるのが膝折れである。ソケットの初期屈曲角を過大に設定すると膝屈曲モーメントが増し、床反力線が膝軸の後方を通って膝を屈曲させる方向に働くため不安定になる。また残存する大腿四頭筋(膝伸展筋)の筋力が低下していると、この屈曲モーメントに拮抗して膝を伸展保持できず膝折れが生じる。糖尿病性の廃用や高齢による筋力低下は臨床的にもよく合致する。

✓ 1. 正しい
初期屈曲角が過大である。
膝屈曲モーメントが増大し床反力線が膝の後方へ移動、膝折れを誘発する
✗ 2. 誤り
初期内転角が不足している。
前額面(内外側)のアライメントの問題で、外側動揺には関与するが矢状面の膝折れとは直結しない
✗ 3. 誤り
右股関節の屈曲可動域制限がある。
股関節伸展位保持や後方への伸びは制限しうるが、膝折れの主因ではない
✓ 4. 正しい
右膝関節の伸展筋力が低下している。
屈曲モーメントに拮抗できず立脚期に膝を保持できないため膝折れの直接原因となる
✗ 5. 誤り
ソケットが足部に対し後方に位置しすぎている。
ソケットが足部に対し後方(足部が前方):床反力線が膝の前方を通り膝伸展モーメントが働くため、むしろ膝は安定し膝折れは起こりにくい
ポイント
  • 下腿義足の膝折れ=立脚期に膝屈曲モーメントが勝る
  • 初期屈曲角の過大は膝屈曲モーメントを増やし不安定化
  • 大腿四頭筋(膝伸展筋)筋力低下で膝保持が困難
  • 足部を前方に出す(ソケット後方化)と膝は安定する
比較表
下腿義足の膝折れ/過伸展とアライメント
状態床反力線と膝軸対応
膝折れ(屈曲不安定)床反力線が膝の後方初期屈曲角を減らす・足部を前方に・伸展筋強化
膝の過伸展・不安定床反力線が膝の前方初期屈曲角を増やす・足部を後方に
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