学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP57A009

理由で解く 理学療法士

QP57A009 理学療法治療学

出典:第57回理学療法士国家試験(2022)午前 問9
問題
18歳の女子。動作時の足底部の痛みを訴えた。足底腱膜炎の診断で超音波治療を行う。正しいのはどれか。
選択肢
1 周波数を10 MHzとする。
2 照射強度を10 W/cm²とする。
3 照射時間率を40%照射とする。
4 疼痛を訴える場合は照射強度を下げる。
5 プローブを5cm以上、皮膚から離して行う。
解答
正解3(照射時間率を40%照射とする。)、4(疼痛を訴える場合は照射強度を下げる。)
解説

治療用超音波は周波数1MHz(深部)/3MHz(表在)、強度0.5〜2.0W/cm²が標準で、プローブはカップリング剤を介して密着・移動させる。疼痛を訴えたら強度を下げるのが安全管理の基本。本問は選択肢3(40%照射)と4のいずれを選んでも正解とする複数正答の措置がとられている。

足底腱膜炎は踵骨付着部にかかる反復ストレスによる疼痛で、超音波は組織の伸張性を高めて痛みを和らげる目的で用いる。周波数は深達度で選び、深部なら1MHz、足底腱膜のような表在なら3MHzで、10MHzでは表層で減衰してしまい治療用には使わない(選択肢1)。照射強度は臨床上おおむね0.5〜2.0W/cm²で、10W/cm²は組織損傷や熱傷を招く過大な設定である(選択肢2)。照射時間率(デューティ比)は100%の連続照射で温熱効果が得られ、40%のようなパルス照射では熱の蓄積が抑えられて非温熱(機械的)効果が主体となる。本症例のように温熱効果を狙って当てる場面では連続照射が基本であり、40%照射を「正しい設定」とは言えない(選択肢3)。プローブを皮膚から離すと間の空気で超音波がほぼ全反射し組織に届かないため、必ずカップリング剤を介して密着させ移動法で照射する(選択肢5)。照射中に疼痛や強い熱感を訴える場合は、強度が過大か骨突出部で骨膜が刺激されている可能性があり、まず照射強度を下げて安全域に調整するのが正しい対応である。したがって正答は選択肢4である。

✗ 1. 誤り
周波数を10 MHzとする。
治療用超音波は1MHz(深部)・3MHz(表在)が基本。10MHzは高すぎて用いない
✗ 2. 誤り
照射強度を10 W/cm²とする。
臨床で用いる強度は0.5〜2.0W/cm²。10W/cm²は組織損傷・熱傷を招く
✓ 3. 正しい
照射時間率を40%照射とする。
40%照射はパルス照射で、温熱を抑えて非温熱効果(組織修復の促進)を狙う設定。炎症が残る足底腱膜炎では妥当な選択で、複数正答の措置によりこの選択肢も正解として扱われる
✓ 4. 正しい
疼痛を訴える場合は照射強度を下げる。
疼痛は強度過大や骨膜刺激のサイン。強度を下げて安全域に調整するのが正しい
✗ 5. 誤り
プローブを5cm以上、皮膚から離して行う。
超音波は空気でほぼ反射する。カップリング剤を介し密着・移動法で照射する
ポイント
  • 治療用超音波:1MHz(深部)/3MHz(表在)、0.5〜2W/cm²
  • パルス(時間率低下)で非温熱効果
  • プローブはゲルを介し密着・移動、疼痛時は強度を下げる
比較表
治療用超音波の基本パラメータ
項目適切な設定本問の誤設定
周波数1MHz(深部)/3MHz(表在)10MHz
照射強度0.5〜2.0 W/cm²10 W/cm²
照射法皮膚に密着・移動皮膚から数cm離す
時間率連続または パルス(例40%)
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