学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 一般 / QP56P041

理由で解く 理学療法士

QP56P041 理学療法治療学

出典:第56回理学療法士国家試験(2021)午後 問41
問題
脊髄完全損傷者の機能残存レベルと実用可能な能力の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 第3頸髄節 ― 自発呼吸
2 第5頸髄節 ― プッシュアップ動作
3 第3胸髄節 ― 自動車への移乗
4 第10胸髄節 ― 両長下肢装具を用いての歩行
5 第12胸髄節 ― 両短下肢装具を用いての歩行
解答
正解3(第3胸髄節 ― 自動車への移乗)
解説

残存レベルで到達できる動作は筋支配の連鎖で決まる。横隔膜はC4、プッシュアップに要る上腕三頭筋はC7、上肢機能はT1で完成すると押さえる。

脊髄完全損傷では最下位の機能残存髄節までの筋しか使えないため、その髄節で働く筋から到達可能な動作を導く。自発呼吸の主体である横隔膜は横隔神経(C3〜C5)支配だが、実用的な自発呼吸を保つにはC4以上の残存が必要で、第3頸髄節残存では呼吸筋の力が不足し人工呼吸器管理を要する。プッシュアップ動作には肘を伸展させる上腕三頭筋(C7)が不可欠で、第5頸髄節残存では三角筋・上腕二頭筋までしか働かず成立しない。第1胸髄節で手内在筋を含む上肢機能が完成し、それより下位では体幹の安定性も加わるため、第3胸髄節残存であれば車椅子と自動車の間の移乗が実用的に自立でき、これが正しい組合せである。実用的な歩行の目安は両長下肢装具で第12胸髄節〜第2腰髄節以下、両短下肢装具で第4腰髄節以下とされる。第10胸髄節では骨盤帯・下部体幹の固定が不十分で、長下肢装具を用いても訓練としての治療的歩行にとどまる。第12胸髄節では膝を支える大腿四頭筋(L3〜L4)が働かないため短下肢装具では膝折れを防げず、長下肢装具が必要となる。

✗ 1. 誤り
第3頸髄節 ― 自発呼吸
実用的な自発呼吸にはC4以上が必要。C3では人工呼吸器を要し誤り
✗ 2. 誤り
第5頸髄節 ― プッシュアップ動作
肘を伸ばす上腕三頭筋はC7支配で、C5ではプッシュアップは不可能
✓ 3. 正しい
第3胸髄節 ― 自動車への移乗
上肢機能はT1で完成。T3なら自動車への移乗が実用的に自立できる
✗ 4. 誤り
第10胸髄節 ― 両長下肢装具を用いての歩行
実用歩行の目安はTh12〜L2以下。Th10は治療的歩行にとどまる
✗ 5. 誤り
第12胸髄節 ― 両短下肢装具を用いての歩行
膝を支える大腿四頭筋が働かず短下肢装具では歩けない。長下肢装具が必要
ポイント
  • 横隔膜=C4、自発呼吸はC4以上
  • プッシュアップ=上腕三頭筋C7
  • 上肢完全機能・移乗自立=T1
  • 長下肢装具実用歩行=Th12〜L2以下、短下肢装具=L4以下
比較表
脊髄損傷残存レベルと到達可能なADL
残存レベル獲得される主な能力
C4横隔膜による自発呼吸、電動車椅子
C6手関節背屈(テノデーシス)、自助具で食事
C7上腕三頭筋によりプッシュアップ・移乗
T1手指機能完成、移乗自立
Th12〜L2長下肢装具で実用歩行
L4以下短下肢装具で実用歩行
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