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理由で解く 理学療法士

QP56P018 理学療法治療学

出典:第56回理学療法士国家試験(2021)午後 問18
問題
80歳の女性。夫と2人暮らし。認知症があり、MMSEは13点。自宅にて転倒し、救急搬送され大腿骨頸部骨折と診断されて人工骨頭置換術が行われた。その後、回復期リハビリテーション病棟へ転棟し、理学療法を開始したが消極的である。理学療法中の患者の訴えへの返答で適切なのはどれか。(表に患者の訴えと理学療法士の返答の組合せが示されている)
図
選択肢
1 1
2 2
3 3
4 4
5 5
解答
正解2(2)
解説

認知症患者の訴えには、否定・訂正・強制ではなく、まず言葉を反復・傾聴して感情を受容する(バリデーション/受容的対応)のが原則。疼痛の訴えは我慢させず評価につなげ、妄想も頭ごなしに否定しない。

認知症(MMSE13点=中等度)があり大腿骨頸部骨折の人工骨頭置換術後で回復期リハに消極的な患者への声かけを問う設問。認知症患者への対応の基本は、訴えを否定・訂正・叱責・強制せず、まず反復・傾聴して感情を受け止める受容的態度(バリデーション療法/パーソン・センタード・ケア)である。選択肢2は「帰りたい」という訴えをそのまま反復して受容しており、帰宅要求を即座に否定せず気持ちを受け止めたうえで理由を聴く適切な返答であり、公式正答2と一致する。他の選択肢は、繰り返す質問を突き放す(1)、疼痛を我慢させ術部評価を怠る(3)、脅しで強制する(4)、物盗られ妄想を否定する(5)と、いずれも患者の感情を否定・軽視する不適切な対応である。

✗ 1. 誤り
1
短期記憶障害で同じ質問を繰り返す患者を一方的に突き放す返答で、その都度初めてのつもりで応じる原則に反する
✓ 2. 正しい
2
患者の言葉を反復して傾聴し感情を受容する対応で、帰宅要求を否定せずまず気持ちを受け止める認知症ケアの基本にかなう
✗ 3. 誤り
3
疼痛の訴えを我慢させるだけで術創部のトラブルを評価しておらず不適切
✗ 4. 誤り
4
「リハビリはやりたくない」→「やらないと歩けなくなる」:脅し・強制で意欲を引き出さず、患者の自己選択権を奪う対応
✗ 5. 誤り
5
「財布を盗られた」→「財布は持ってきてはいけません」:物盗られ妄想を頭ごなしに否定し信頼を損なう。「一緒に探しましょう」と受け止めるのが望ましい
ポイント
  • 認知症対応の原則=否定せず受容・共感
  • 感情の反復(バリデーション)で安心を提供
  • 説得・叱責・脅しは拒否を強める
比較表
認知症患者への対応の可否
対応適否
感情を受け止める・反復する適切
否定・叱責・訂正不適切
我慢の強要・脅し不適切
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