学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP57A007

理由で解く 理学療法士

QP57A007 理学療法治療学

出典:第57回理学療法士国家試験(2022)午前 問7
問題
28歳の男性。脊髄完全損傷。両側に長下肢装具を使用し、平行棒内歩行練習を行っている。歩行パターンを図に示す。機能残存レベルはどれか。
図
選択肢
1 Th1
2 Th6
3 Th12
4 L4
5 S1
解答
正解3(Th12)
解説

骨盤帯なし両側長下肢装具+平行棒内での振り出し歩行が可能な機能残存レベルはTh12。

図は両側長下肢装具(KAFO)を装着した男性が平行棒を把持し、両下肢を同時に前方へ振り出す「振り出し歩行(swing gait)」を行う4コマ連続の模式図である。装具は大腿・下腿をベルトで固定した標準的な長下肢装具で、骨盤帯や体幹装具は描かれていない。骨盤帯なしの両側長下肢装具を用いて平行棒内で振り出し歩行を成立させるには、腹筋群・腰背筋・腰方形筋など下部体幹から骨盤を制御する筋が機能している必要があり、これが可能となる機能残存レベルはTh12である。Th6やTh1などの上位胸髄では体幹制御が不十分で骨盤帯や体幹支持を要し、L4以下では股関節屈筋・大腿四頭筋が働くためより軽い装具での交互歩行へ移行する。したがって図の歩行様式に合致する機能残存レベルはTh12であり、公式正答と整合する。

✗ 1. 誤り
Th1
Th1(上位胸髄):体幹筋がほぼ麻痺し座位保持に体幹支持を要する。骨盤帯なし長下肢装具での平行棒内振り出し歩行は成立しない
✗ 2. 誤り
Th6
Th6(中位胸髄):上部体幹は安定するが下部体幹・骨盤の制御が不十分で、実用的な振り出し歩行には骨盤帯や体幹支持を要する
✓ 3. 正しい
Th12
Th12(下位胸髄):腹筋群・腰背筋・腰方形筋が働き骨盤を制御でき、図の骨盤帯なし両側長下肢装具+平行棒内の振り出し歩行が可能な機能残存レベル
✗ 4. 誤り
L4
L4(腰髄):大腿四頭筋・股関節屈筋が働き、より短い装具で交互歩行が可能となる。図の両側長下肢装具による振り出し歩行より軽い装具レベル
✗ 5. 誤り
S1
S1(仙髄):下腿三頭筋等が働き装具はほぼ不要〜足関節装具程度で歩行できる。図のような長下肢装具は必要としない
ポイント
  • Th12=腰方形筋・腹筋で骨盤挙上→長下肢装具で大振り/小振り歩行
  • L1-L2で腸腰筋、L3-L4で大腿四頭筋→短下肢装具レベルへ
  • 残存レベルで必要装具と歩行様式が決まる
比較表
脊髄損傷レベル別の歩行・装具
残存レベル主な機能歩行
Th6以上上部体幹治療的立位・歩行
Th12骨盤帯挙上長下肢装具で実用的装具歩行
L4大腿四頭筋短下肢装具で実用歩行
S1下腿三頭筋装具なし〜短下肢装具歩行
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 理学療法士
App Store入手