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理由で解く 理学療法士

QP56P017 理学療法評価学

出典:第56回理学療法士国家試験(2021)午後 問17
問題
42歳の男性。気管支喘息。ある薬物の吸入療法前後のフローボリューム曲線の変化を図に示す。この薬物によって生じた呼吸器系の変化として正しいのはどれか。
図
選択肢
1 気道抵抗の低下
2 呼気筋力の増強
3 肺拡散能の改善
4 胸郭柔軟性の改善
5 肺コンプライアンスの増加
解答
正解1(気道抵抗の低下)
解説

喘息での吸入(気管支拡張薬)後にフローボリューム曲線のピークフローと呼気流量が全域で増加=気道抵抗の低下を示す。

図は気管支喘息患者の吸入療法前後のフローボリューム曲線である。実線(吸入前)は最大呼気流量(ピークフロー)が約5.5 L/sで、下行脚が下に凹む閉塞性換気障害のパターンを示す。破線(吸入後)はピークフローが約8.5 L/sへ上昇し、同一肺気量位における呼気流量が全域で増加している。これは吸入した気管支拡張薬(β2刺激薬など)により狭窄していた気道が拡張し、気道抵抗が低下したためである。一方で曲線が0に戻る肺気量位(総排出量)はほぼ変わらず、肺容量・肺コンプライアンス・胸郭柔軟性の変化を示す所見はない。呼気筋力や肺拡散能はこの検査からは評価できない。したがって本薬物によって生じた変化は「気道抵抗の低下」である。

✓ 1. 正しい
気道抵抗の低下
吸入後(破線)は最大呼気流量が約5.5→約8.5 L/sへ上昇し、下行脚の呼気流量が全域で増加。気管支拡張薬の吸入で気道が拡張し気道抵抗が低下したことを示す
✗ 2. 誤り
呼気筋力の増強
吸入した気管支拡張薬は呼吸筋力を高めない。ピークフロー上昇は気道拡張によるもので、筋力増強を示す所見はない
✗ 3. 誤り
肺拡散能の改善
肺拡散能はフローボリューム曲線では評価できず、図に該当する変化はない
✗ 4. 誤り
胸郭柔軟性の改善
曲線が0へ戻る肺気量位はほぼ不変で、胸郭の柔軟性(コンプライアンス)変化を示す所見はない
✗ 5. 誤り
肺コンプライアンスの増加
肺気量の起点・終点はほぼ同じで、肺コンプライアンスの増加を示す所見はない。喘息は気道の可逆的狭窄であり本病態とも合致しない
ポイント
  • 喘息=閉塞性換気障害(気道抵抗上昇)
  • 気管支拡張薬で気道抵抗低下
  • フローボリューム曲線の下降脚陥凹が改善
比較表
換気障害とフローボリューム曲線
病態特徴
閉塞性(喘息)呼出流量低下・下降脚が下に凸、気道抵抗上昇
拘束性(間質性肺疾患)肺気量減少・相似形に縮小、拡散能低下
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