学習トップ理由で解く 理学療法士第11章 ▸ 実地 / QP56A013

理由で解く 理学療法士

QP56A013 理学療法評価学

出典:第56回理学療法士国家試験(2021)午前 問13
問題
歩行パターンを図に示す。筋力低下を生じている筋はどれか。
図
選択肢
1 下腿三頭筋
2 前脛骨筋
3 大殿筋
4 中殿筋
5 長内転筋
解答
正解3(大殿筋)
解説

側方(矢状面)から見た歩行で立脚相に体幹が後方へ反る(後方突進)のは、股関節伸筋である大殿筋の筋力低下の特徴。

図は歩行を側方(矢状面)から描いた線画で、立脚相にあたるコマで体幹が後方へ反る(のけぞる)姿勢が示されている。この体幹の後方傾斜(後方突進・extensor lurch)は、股関節伸筋である大殿筋の筋力低下に特徴的な代償である。大殿筋が弱いと立脚初期に股関節が屈曲方向に崩れるのを防げないため、体幹を後方へ倒して重心線(床反力の作用線)を股関節の後方に保ち、股関節伸展位を維持する。一方、中殿筋の筋力低下はTrendelenburg歩行として体幹の『側方』傾斜を生じ、これは正面/背面(前額面)から観察される所見であり、本図のような側方視では表現されない。前脛骨筋低下は下垂足・鶏歩、下腿三頭筋低下は踵足歩行で、いずれも図の体幹後方傾斜とは一致しない。したがって筋力低下を生じている筋は大殿筋である。

✗ 1. 誤り
下腿三頭筋
底屈・蹴り出しを担う。低下すると踵足歩行となるが、図の『体幹後方傾斜』とは対応しない
✗ 2. 誤り
前脛骨筋
足関節背屈を担う。低下すると下垂足・鶏歩(遊脚期の過度な股膝屈曲)となるが、図とは対応しない
✓ 3. 正しい
大殿筋
股関節伸筋。低下すると立脚初期に体幹を後方へ反らせ重心線を股関節後方に置く後方突進様歩行を呈する。図の側方視で見られる体幹後方傾斜と一致する
✗ 4. 誤り
中殿筋
股関節外転筋。低下するとTrendelenburg歩行(体幹の側方傾斜・骨盤の落ち込み)となり、前額面(正面/背面)で観察される。本図は側方視のため該当しない
✗ 5. 誤り
長内転筋
股関節内転筋。特徴的歩行様式として本図に描かれる所見ではない
ポイント
  • 大殿筋歩行=立脚初期の体幹後傾
  • 中殿筋弱化=Trendelenburg(側方動揺)
  • 前脛骨筋弱化=下垂足・鶏歩
比較表
筋力低下による異常歩行
異常歩行
大殿筋立脚初期に体幹後傾(大殿筋歩行)
中殿筋立脚側へ体幹側屈(Trendelenburg歩行)
前脛骨筋下垂足・鶏歩
下腿三頭筋後方推進力低下・踵離れ不良
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