学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP55P019

理由で解く 理学療法士

QP55P019 理学療法治療学

出典:第55回理学療法士国家試験(2020)午後 問19
問題
66歳の男性。意識障害で右上肢を下に腹臥位で体動困難となっているところを発見された。両膝、右手首、右肘および右前胸部に多発褥瘡を認め、脱水症を伴うことから発症後数日が経過していると考えられた。保存的加療とともに理学療法が開始され、徐々に意識障害が改善すると、入院後1か月で訓練中に右手のしびれを訴え、図のような手を呈した。この患者の右手に適応となるのはどれか。
図
選択肢
1 BFO
2 虫様筋カフ
3 短対立装具
4 手関節駆動式把持装具
5 コックアップ・スプリント
解答
正解2(虫様筋カフ)
解説

長時間の肘・前腕の圧迫による尺骨神経麻痺で鷲手を呈した状態。MP過伸展を防ぎ把持を助ける虫様筋カフが適応。

右上肢を下にした長時間の腹臥位で肘部(肘部管)や前腕内側が圧迫され、尺骨神経麻痺を生じたと考えられる。図の手は環指・小指のMP関節過伸展・IP関節屈曲を呈する鷲手(claw hand)で、これは虫様筋・骨間筋麻痺によりMP屈曲・IP伸展ができなくなるためである。虫様筋カフ(lumbrical bar/ナックルベンダー様)はMP関節の過伸展を制限しつつ、長指伸筋の力をIP伸展に伝えて指の伸展を可能にし、把持動作を改善するため適応となる。褥瘡分布(右手首・右肘)からも右上肢が圧迫肢位にあったことが裏づけられる。

✗ 1. 誤り
BFO
BFO(balanced forearm orthosis):上肢近位筋の重度筋力低下時に前腕を支え机上動作を助ける装具で、鷲手には不適
✓ 2. 正しい
虫様筋カフ
MP関節の過伸展を防ぎIP伸展を促し、尺骨神経麻痺の鷲手の把持を改善
✗ 3. 誤り
短対立装具
正中神経麻痺(猿手)で母指対立を代償する装具。鷲手の病態と合わない
✗ 4. 誤り
手関節駆動式把持装具
頸髄損傷などで手関節背屈を利用しtenodesis把持を作る装具で、本例には不適
✗ 5. 誤り
コックアップ・スプリント
橈骨神経麻痺の下垂手に対し手関節背屈を保持する装具で、鷲手には不適
ポイント
  • 圧迫による尺骨神経麻痺→鷲手(claw hand)
  • 鷲手はMP過伸展・IP屈曲(虫様筋・骨間筋麻痺)
  • 虫様筋カフでMP過伸展を制限し把持を改善
比較表
上肢末梢神経麻痺と装具
神経麻痺変形/装具
尺骨神経鷲手/虫様筋カフ
橈骨神経下垂手/コックアップ・スプリント
正中神経猿手/短対立装具
頸髄損傷C6tenodesis/手関節駆動式把持装具
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