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理由で解く 理学療法士

QP55P020 理学療法評価学

出典:第55回理学療法士国家試験(2020)午後 問20
問題
75歳の男性。脳挫傷。飲酒しトイレで倒れていた。頭部CTを図に示す。明らかな運動麻痺はなく、反復唾液嚥下テスト〈RSST〉は5回/30秒である。改訂水飲みテスト〈MWST〉や食物テストでは嚥下後の呼吸は良好でむせもない。義歯を使用すれば咀嚼可能であるが、実際の食事場面では自分で食物を口に運ぼうとしない。この患者の摂食嚥下で障害されているのはどれか。
図
選択肢
1 先行期
2 準備期
3 口腔期
4 咽頭期
5 食道期
解答
正解1(先行期)
解説

運動・咀嚼・嚥下機能が保たれるのに自分で食物を口へ運ばないのは、脳挫傷による高次脳機能障害で摂食の「先行期(認知期)」が障害されているため。

図は頭部単純CT水平断で、脳実質(前頭〜側頭部)に高吸収域を認め、出血性脳挫傷を示唆し、設問の「脳挫傷」を裏付ける。摂食嚥下は先行期(認知)→準備期(咀嚼・食塊形成)→口腔期(咽頭への送り込み)→咽頭期(嚥下反射)→食道期(蠕動)の順に進む。本例はRSST正常、MWST・食物テストで誤嚥なく咽頭期は良好、義歯で咀嚼でき準備期・口腔期も保たれる。しかし明らかな運動麻痺がないのに自ら食物を口へ運ばない=食物の認知や食行動の開始が障害されている。これは脳挫傷による高次脳機能障害に起因する先行期の障害であり、正答は1「先行期」。

✓ 1. 正しい
先行期
食物を認知し「何をどう食べるか」を判断して口に運ぶ認知・食行動開始の段階。CTが示す脳挫傷による高次脳機能障害で、運動麻痺がなく咀嚼・嚥下機能も保たれるのに自分で食物を口へ運ぼうとしない=この段階が障害されている
✗ 2. 誤り
準備期
食物を咀嚼し食塊を形成する段階。義歯を使えば咀嚼可能であり保たれている
✗ 3. 誤り
口腔期
形成した食塊を舌で咽頭へ送り込む段階。嚥下自体は可能で本例の障害の主体ではない
✗ 4. 誤り
咽頭期
嚥下反射で食塊を食道へ送る段階。RSST5回/30秒(正常)、MWST・食物テストで嚥下後の呼吸良好・むせなしから保たれている
✗ 5. 誤り
食道期
食道の蠕動運動で食塊が胃へ運ばれる段階。障害を示唆する所見はない
ポイント
  • 摂食嚥下は5期(先行→準備→口腔→咽頭→食道)
  • 先行期=食物を認知し口へ運ぶ認知期
  • 高次脳機能障害では先行期が障害されうる
比較表
摂食嚥下の5期
内容
先行期食物を認知し口へ運ぶ(認知期)
準備期咀嚼して食塊を形成
口腔期食塊を咽頭へ送り込む
咽頭期嚥下反射で食道へ(誤嚥防止)
食道期蠕動で胃へ移送
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