学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP55P017

理由で解く 理学療法士

QP55P017 理学療法治療学

出典:第55回理学療法士国家試験(2020)午後 問17
問題
69歳の男性。脳梗塞による右片麻痺。発症から4週が経過。Brunnstrom法ステージは上肢II、手指II、下肢III。移乗とトイレ動作は手すりを使用して自立、車椅子駆動は自立している。歩行は短下肢装具とT字杖を使用して軽介助が必要であり、病棟では車椅子で移動している。病室を図に示す。この患者に適切なのはどれか。(選択肢は図)
図
選択肢
1 1
2 2
3 3
4 4
5 5
解答
正解5(5)
解説

片麻痺患者の病室・トイレ環境は「非麻痺側(健側)で接近・支持できる」ことが原則。手すりは、背臥位のベッドでも座位のトイレでも健側の手が届く側に設置し、車椅子も健側から寄せる。右片麻痺なら左手側に手すり、が判定の軸。

本症例は右片麻痺(Brunnstrom上肢II・手指II・下肢III)で、非麻痺側は左側。車椅子を用いれば移乗・トイレ動作・車椅子駆動が自立している段階なので、病室環境は「非麻痺側(左)で支持・接近して各動作を安全に自立できる」よう手すりを配置することが求められる。判定の要点は2つ。①ベッドの手すりは、背臥位時に左手(非麻痺側)が届く側にあると、起き上がりや車椅子への移乗を健側で安全に行える。この条件を満たさない選択肢1・2は除外される。②トイレ(便器)の手すりは、座位時に左手(非麻痺側)が届く側にあると、立ち上がりや下衣操作を健側で安全に行える。この条件を満たさない選択肢3・4も除外される。両条件(ベッド・トイレとも手すりが非麻痺側の左手側にあり、車椅子が健側から接近できる)を同時に満たすのは選択肢5のみで、これが正答。麻痺側(右)に手すりが来る配置では、筋力・支持性が不十分な患側で体重支持や把持を強いられ、転倒・移乗失敗のリスクが高く不適切となる。

✗ 1. 誤り
1
便器は上方・ベッドは室内側(右)で、ベッドの手すりが背臥位時の非麻痺側(左手側)に来ない配置。起き上がり・車椅子への移乗を健側で支持できず不適
✗ 2. 誤り
2
1と鏡像・回転関係の類似配置で、やはりベッドの手すりが背臥位時の非麻痺側(左)に位置しない。起き上がり・移乗を健側で行えず不適
✗ 3. 誤り
3
ベッドの手すり位置は可だが、トイレ(便器)の手すりが座位時の非麻痺側(左手側)に来ない配置。便器からの立ち上がり・下衣操作を健側で支持できず不適
✗ 4. 誤り
4
便器を室内下方に配置するが、トイレの手すりが座位時の非麻痺側(左)に位置しない。立ち上がり・下衣操作に不適
✓ 5. 正しい
5
ベッドの手すりが背臥位時の左手(非麻痺側)側に、トイレの手すりが座位時の左手(非麻痺側)側にあり、車椅子も健側から接近できる配置。起き上がり・移乗・トイレ動作をすべて健側支持で安全に自立でき適切
ポイント
  • 右片麻痺は健側(左)主導で動作
  • 車椅子・移乗は健側からアプローチできる配置
  • 必要物品・手すりは健側側に
比較表
片麻痺患者の環境設定の原則
項目原則
移乗方向健側からベッド・便座へ接近
車椅子の位置健側でブレーキ・駆動できる向き
物品・ナースコール健側(操作可能側)に配置
動線駆動・移乗を妨げない広さを確保
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