学習トップ / 理由で解く 理学療法士 / 第11章 ▸ 実地 / QP55P016
理由で解く 理学療法士

高齢者の転倒後の股関節痛は大腿骨近位部骨折を第一に想起しがちだが、恥骨(枝)骨折も同じ主訴を呈する重要な鑑別。骨盤X線では「大腿骨頭が臼内にあるか(脱臼)」「頸部・転子部の骨折線と左右差」に加え、必ず「骨盤輪・閉鎖孔の左右対称性」「恥骨枝の皮質連続性」まで確認する。
骨盤単純X線正面像で、まず両大腿骨頭が寛骨臼内に正しく収まっているかを確認すると左右とも適合しており、股関節脱臼は否定できる(選択肢1誤)。次に大腿骨頸部・転子部を左右比較すると明瞭な骨折線や転位差は指摘できず、大腿骨近位部骨折も積極的には支持されない(選択肢2誤)。恥骨結合は直腸内ガス・便の陰影に重なって明瞭でないうえ、離開(結合部の間隙開大)は主に分娩に関連して生じるため本症例には合わない(選択肢3誤)。腸骨翼・寛骨臼にも骨折線や転位はみられない(選択肢5誤)。一方、骨盤輪および閉鎖孔の形が左右で非対称となり、右恥骨(恥骨枝)の皮質連続性が破綻している点が読み取れ、これが診断根拠となる。高齢女性は骨粗鬆症を背景に軽微な転倒でも恥骨枝骨折を生じやすく、大腿骨近位部骨折と同様に股関節周囲痛を主訴とするため、両者は必ず鑑別すべき組み合わせである。以上より公式正答どおり「恥骨骨折」(選択肢4)が疑うべき疾患である。
| 疾患 | 画像上の特徴 |
|---|---|
| 大腿骨近位部骨折 | 頸部/転子部の骨折線 |
| 恥骨骨折 | 恥骨枝の骨折線 |
| 恥骨結合離開 | 恥骨結合間隙の開大 |
| 股関節脱臼 | 骨頭の寛骨臼からの逸脱 |
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